スカルフェイス
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イフルを腰に携えた男だった。
その男を見た瞬間、マキナとアギトは本能的な恐怖を抱いた。幽霊のようで人間とは思えない容姿もそうだが、何より暗黒物質が宿ったその男の全身から溢れ出る圧倒的な気迫に精神が飲み込まれかけたからだ。
「(アギト、服の中に隠れて。隙を見て逃げるんだ)」
「(待ってくれ、それじゃあ姉御が!?)」
「(私は大丈夫。とにかく今は大人しくしてて)」
「運が良かったな、女。今日の私は機嫌が良い」
「へ、へぇ……機嫌が良いなら何よりだ。それならサービスで何か興味の湧きそうな話でもしてくれる?」
「トボけた女だ、良いだろう。特別に私の“鬼”を少しばかり教えてやろう」
そう言うと男はマキナが抵抗した所で何の障害にもならないと言わんばかりに背を向け、来た道を歩いて戻っていく。確かにその一見無防備な背中に攻撃するのは簡単かもしれないが、向こうが隠している手がわからないため、迂闊な行動は自分の首を絞める事に繋がる。苦渋の表情を浮かべ、マキナは一応何が起きても動けるように警戒しながら彼の後を追った。
「お前は私を知らないだろうが、私はお前をよく知っている。全ては“報復”で繋がっているのだ」
死者の部屋を抜けた先には、管理局本局と同じ造りの通路や扉があり、管理局を含めたあらゆる勢力の技術がここに集っている事を否が応でも感じさせた。
「英語で話している時点で察せると思うが、私は地球で生まれ、そして一度死んでいる。“毒蛇”にやられたせいでな」
「……毒蛇……?」
「私の報復は完全には為せなかった。だが私の報復心は潰えていなかった。肉体を消し炭まで焼かれ、世界から完全に消滅してもなお、報復心はより強大となって再起を図った。その怒りは世界を越え、星々を越え、そして……銀河の果てに君臨する“彼ら”に届いた」
「彼ら……? 彼らってヴァランシアのこと……?」
「彼らは私の肉体を灰から蘇らせ、新たな力を与えた。世界をありのままの姿で存続させるために。だが地球は“愛国者達”の手で変わり果てていた、もはや彼の世界のシステムを完全に消し去る事は出来ない。だが“外側”にあった力ならば、それを壊し、覆す事ができる。しかしその力を持つ者どもは、嘆かわしい事に“愛国者達”と同じ思想をしていた。それでは世界は緩やかに滅びを迎えるという事もわからずにな。だから私は管理局に“寄生”し、利用する選択をした。そのための手土産として、私は“虫”を使った」
「虫?」
「蘇った際、私の身体に宿っていた“虫”もまた復活したのだ。だがその復活は完全とは言えず、かつての猛威は振るえそうになかった。しかし放射線以外にも虫を変異させる方法が見つかり、それを上手く用いれば以前の虫を越える力を発揮できる可能
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