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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十一話 予兆
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る。シュターデン少将の評判が良くないのだ。その分ヴァレンシュタイン少将への期待になっている。その時だった。少将のTV電話が鳴る。少将は二言三言話すとTV電話を切り、ディーケン少将に出かける事を伝えると準備を始めた。私も慌てて準備をする。
少将が向かったのは軍務省人事局だった。軍務省では少将を見ると皆ヒソヒソと話し始める。少将は受付を無視して進もうとし受付の女性に呼び止められた。受付を通さないと困るということみたいだ。予約はありますか?と言っている。もっとも女性は怒っていない。少将に対して好意的なようだ。多分話したいのだろう。
その分こちらを見る眼はきつい。少将は“ハウプト中将に至急といわれています”と話した。女性は確認を取ると、慌てて“すぐ局長室に行ってください”と言ってきた。その言葉に周りがざわめく。ヴァレンシュタイン少将がハウプト人事局長に会う、急ぎの用件で、ビッグニュースだろう。少将は周囲の喧騒を無視して局長室に向かう。憎らしいほどの落ち着きぶりだ。つねってやりたい。
少将は局長室に入った。私は部屋の外でお留守番だ。結構時間がかかるだろうなと思っていると、すぐ出てきた。そして少し困った表情で“厄介な事になるかもしれない”といって歩き出した。厄介な事? この子にとって厄介な事って何なんだろう? そんな物有るのだろうか?そんな事を考えながら少将の後を追う。少将が次に向かった先は……尚書室だった。これって厄介な事だよね? 多分。
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