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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十一話 予兆
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ッケンベルガーを過小評価していたかもしれない。ヴァンフリート、イゼルローン要塞攻防戦、いずれもヴァレンシュタインの力によって勝利を得たと思い、ミュッケンベルガーを凡庸だと思っていた。しかし今回の作戦を見る限りミュッケンベルガーはなかなかの用兵家だ。
あるいはヴァレンシュタインの助言が有るのかもしれないが、それを受け入れるのも将としての力量だろう。“誰を味方にすべきなのかを見極め、そして味方を得る事”ヴァレンシュタインがキルヒアイスに託した俺への伝言。艦隊の規模が大きくなった今、まさに俺に必要とされているのは俺を助けてくれる味方を得る事だろう。ウルリッヒ・ケスラーを参謀長に得た今は特にその思いが強い。俺の味方になり、俺の覇業を助けてくれる味方を得なければならない……。
■ オーディン 兵站統括部第三局第一課
ミュッケンベルガー元帥は順調に軍を進めているらしい。今頃はパランティアを過ぎアスターテに向かっている頃だな。あるいはもう同盟軍との間で戦闘状態になっているかもしれない。此処まで敵を振り回したのだ、まず負ける事はないだろう。残念なのはウィレム・ホーランドが第六次イゼルローン要塞攻防戦で戦死したことだ。あいつがいればもっと楽に勝てるんだが。
それにしても妙な事件が起きた。敵の輸送船、それも民間の輸送船を拿捕ということは原作でのグランド・カナル事件だが、こっちでも似たような事件が起きたか。多分ティアマト方面を重視する余り、護衛艦を全部ティアマトに振り向けたのだろう。ロボス大将にとっては正念場だからな。
しかし裏目に出た。民間人にまで被害が出たということは、余程の大勝利を得なければ国民は納得しない。まして戦略レベルでこちらの陽動に引っかかった結果ともなればなおさらだ。九分九厘ロボスの更迭は決まった。問題は後任が誰かということだな。シトレ元帥はクブルスリー、あるいはボロディン、思い切ってウランフというところを考えているかもしれない。グリーンヒルは難しいだろうな、ロボスの補佐だから。
しかし、トリューニヒトが簡単にそれを認めるとも思えない。しかしトリューニヒト派で宇宙艦隊司令長官が務まる人材がいるか?どうも思い浮かばない。あるいは妥協の産物としてビュコックという可能性も有るか。
■ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
少将がなにやら考え込んでいる。ココアを飲みながら眉をひそめて“難しいな”、“それも有るか”などと独り言を呟く。こういうときは邪魔をしないほうがいい。考えているのは遠征軍の事ではないと思う。同盟軍がこちらの陽動に引っかかった時点で、少将は遠征軍に関して心配することはやめたようだ。
次の戦争の事かもしれない、もしかしたら人事のことかも。次の人事では少将はまた宇宙艦隊司令部に異動になるだろうといわれてい
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