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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
二人は出会い、そして◆蘇生
第十六話 出会いは唐突で
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バーがこちらにやってくる。それはシリカにとって最も会いたくない人であった。

「あら、シリカじゃない。森から脱出できたんだ。良かったわね。でも残念ね、もうアイテムの分配は終わったわよ。」
「要らないって言ったはずです!――急ぎますから」
マルバの服の裾を更に強く引っ張り、シリカは宿屋に入ろうとするが、その女性は後ろからさらに言葉を投げつけてきた。

「あら、あのトカゲ、どうしちゃったの?」
「ピナは死にました……でも、必ず生き返らせてみせます!」

いかにも痛快という様子で笑っていた女性はその笑みを引っ込め、値踏みするような目でシリカを、そしてその手が引っ張っている服の主であるマルバの方を見る。
「じゃあ《思い出の丘》に行く気なのね。あんたのレベルじゃ無理じゃないの?」
「……ッ!」

そこでマルバは一歩前に出ると、その女性と対峙した。
「できるさ。独りじゃ無理かもしれないけど、僕がいる。二人いればなんとかなるでしょ。」
「へえ、アンタもその子にたらしこまれちゃったの?」
「生憎とそういう訳じゃないんだな、これが。シリカ、行こう」
マルバはその場で振り返り、今にも泣き出しそうなシリカを女性の視線からかばうようにして宿屋に入っていった。



「ごめんなさい、嫌な思いさせてしまいましたよね」
「いいんだ、気にしないで。君のせいじゃない」
マルバはNPCに注文を告げ、シリカを慰めた。
「腹が減っては戦はできぬ、って言うし、まずは食事済ませよ、ね?」

ちょうどそのタイミングでウェイトレスが温かい飲み物を持って来たので、勧められるままにシリカはそれを一口飲む。
「……おいしい……!あの、これは……?わたし、こんなの飲んだことないんですが……」
「NPCレストランって頼めば持ち込んだボトルも出してくれるんだよ。おいしいでしょ?ホットジンジャーだよ。現実世界で僕が好きだった飲み物なんだけど、こっちでも作れないかなって思ってさ。いろいろ混ぜてたら偶然できたんだ。簡単で安価なくせになんと『幸運』のバフが付く効果があったりして、ダンジョンで飲むと身体も心もバフ枠もほかほか」
「自分で作ったんですか!それじゃ、《料理》スキル上げてるんですか?」
「うーん、積極的に上げてるわけじゃないけど、けっこう昔に取ったから今450行ったところくらいかな。難しいのは無理だけど、これくらいなら楽勝だよ。」


二人は運ばれてきた料理を談笑しながら食べ、親交を深めた。そして最後に運ばれてきたチーズケーキはマルバの新たな好物となった。

シリカにとってマルバは相変わらず謎が多い人だったが、料理のことや使い魔のこと、この世界での冒険について話すうちに彼女はマルバの優しそうな人柄に惹かれていた。彼は彼女よりもずっといろいろなことを
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