暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
番外編 〜夜戦トーナメント〜
お姫様はハル
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まりに申し訳無さそうに頭を下げる提督さんが不憫に思えてきた。別にそんなの気にしなくていいのに……

「そうなの? 俺はまたてっきり膝枕は球磨だけの特権だと思ってたから……」
「隼鷹」
「ん? どうしたー?」
「昨日の夜提督さんが俺の店に電話かけてきて、お前のことを可愛い可愛いって4時間ぶっ続けでノロケてきたぞ。ダンナをなんとかしろ」

 『またそんな恥ずかしいことを……!!』『ご、誤解だッ?!』と夫婦喧嘩を始めた提督さんと隼鷹は置いておいて……みんなそれぞれ目的が違うってどういうことだろう?

「球磨」
「クマ?」
「お前、いっつも膝枕で耳掃除してやってるよなぁ?」
「そうクマね」
「んじゃお前、なにが目的なんだよ?」

 別になんでもない他愛無い質問のはずなんだが……急にほっぺたを赤くして口をとんがらせ、この妖怪アホ毛女はそっぽをむいた。

「き、拠点防衛戦だクマッ」
「? 意味がよく分からん……」

 加古は加古で何か目的があるみたいだな……

「私はハルの膝枕で昼寝してみて、一番好きな膝枕と比べてみたいんだよ」

 ものすごくキラキラした清々しい表情でそう答える加古の背後に、赤面してうつむいている古鷹の姿がうっすら見えたのは黙っておこう……つーか寝るってどういうことだよ。耳掃除して終わりじゃないの?

 川内は……

「ぐふふふふふふふ……夜戦……演習とはいえ夜戦……!!!」

 言わずもがなってやつですかね……

 そんなこんなで各々の思惑や欲望が錯綜したまま解散し、時が刻一刻と過ぎていく。トーナメントの開始時刻は午後7時。夜戦というほど夜ではないが、日が落ちるのが早くなった結果、今ではそんな早めの時間でも充分暗い。これなら夜の哨戒任務にも支障はないだろう……という提督さんの了承を得ない艦娘たちの独断でその時刻になったそうだ。提督さんの威厳、まるでなし。

「えこひいきは駄目だクマ!!」

 球磨はそんなことを言い出し、今日の晩飯は球磨から席を離して北上と二人で食べることになった。えこひいきって何だ? つーかなんで球磨とメシを食うのがえこひいきになるんだよ。

「球磨姉も意地があるんだと思うよ?」
「さっぱり意味が分からん。そもそもあいつは参加しなくても無理矢理俺に膝枕させてるじゃんか」
「乙女心が分かってないねーハル……」
「?」

 離れたところで周囲に殺気を振りまきながら飯を食ってる球磨に、自然と目が行く。時折こっちに目を向け、俺と目が合うとぷいっとそっぽを向いている妖怪アホ毛女。なんだよ。意地張ってないでこっち来ればいいじゃんか。

 ……あ、そういえば。北上は辞退していたことを思い出した。

「北上、お前はなんで辞退なんだよ?」
「あれー? ひょ
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