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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十話 恒星
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! 少将も若いけど、この子も若い。ミューゼル中将と同い年なんだ。
「昇進なされたそうですね、フィッツシモンズ大尉。おめでとうございます」
「有難うございます」
そうなのだ。どういうわけか私も昇進した。しばらく何気ない会話をした後、キルヒアイス少佐が尋ねてきた。

「大尉にとって少将閣下はどのような方ですか」
「? そうですね、こう言っては何ですが、手のかかる弟のようなものでしょうか」
「手のかかる弟?」
「はい。体が弱いのに無理をするし、おとなしそうに見えて、売られた喧嘩は必ず買うような激しいところも有るし…」
「激しいところですか?」

キルヒアイス少佐は何か考えている。なんだろう?
「少佐にとって、ミューゼル中将はどのような方ですか」
「中将閣下はすばらしい方です。才能も性格も全てにおいて」

「ヴァレンシュタイン少将もミューゼル中将を高く評価しておいでです。自分など到底及ばないと」
「そうでしょうか?」
「は?」

「私は、ヴァレンシュタイン少将が時に恐ろしく思えるときがあります。……失礼しました。妙な事を言って。忘れていただければ幸いです」
「……」
話が終わったのだろうか、応接室から皆が出てきた。皆にこやかな表情をしている。
それを機に私とキルヒアイス少佐の会話も終わった。

 キルヒアイス少佐は少将のことを快く思っていない。私との会話でも何かを探ろうとしていた。穏やかな表情をしながらも何故かこちらを警戒していたのだ。彼にとって少将は警戒が必要な相手なのだ。警戒が必要?敵と言う事か?しかし何故少将が彼の敵なのだろう?私は気になって少将に尋ねてみた。すると少将は苦笑しながら気にする事は無い、といってくれた。そして続けて

「彼の判断基準は二つしかありません。ミューゼル中将にとって役に立つか、立たないか。ミューゼル中将の味方になるか、敵になるか。それだけです。いずれ敵ではないとわかるでしょう」

と言った。そうだろうか?キルヒアイス少佐の言った“ヴァレンシュタイン少将が時に恐ろしく思えるときがあります”あの言葉の意味が私にはわかるような気がする。私も同じ思いなのだ。少将がときに恐ろしく思えるときが有る。彼の警戒は敵か味方かではなく、恐ろしさに対するものではないだろうか。もしそうなら、彼の警戒は止まる事はないだろう。常に私たちを警戒し続けるに違いない。


 私は夜リューネブルク少将に会っていた。少将が私の昇進祝いをしてくれるというのだ。帝国では一緒にお酒を飲む相手もいない。ヴァレンシュタイン少将はアルコールが全然駄目で相手にならない。そういう点でリューネブルク少将は得がたいパートナーだった。食事を終え、場所を変えてアルコールを楽しむ。リューネブルク少将とは、帝国と同盟の両方の話が出来る。共に
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