第1話
ep.008 『赤く染まる幼い少女編 6』
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で自分を呼ぶのかなって。」
「わたし、『シ 296』。」
少女が言う。俺の左腕の袖を掴みながら、何か別の事を伝えてくる。
「ああ、分かったよ。」
(ああ、分かった。分かったから、これ以上言わないでくれ。)
「ほら、お兄ちゃんも分かったって言ってるから、もう行こうね。」
本音を言えば、連れて行ってほしくない。あの子の事を問い詰めたい。そう思っても、あの子が地上の何処かに行くのは、もう決まっている事なのだろう。まあ、経験則だが。
この第0学区から地上に戻された後、彼女は何処に贈られるのだろうか。地上にいる学園都市上層部が決めた施設に贈られ、そこでまた実験させられるのだろうか。
そこで思い出す。4日前、立前の言っていた言葉を。
「今回は、私の勝ちみたいだね。 また近々会うと思うから、・・・・・・・・・またね。」
彼女も立前さんと似たような呼び名だ。同じ施設にいたことも気になる。
「じゃあ、行くね。叶お兄ちゃん。」
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。)
(間違ってるよ。)
そして、夜。
自室にて、就寝。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くん。」
誰かが身体をゆすりながら読んでいる、気がする。
学園都市に来た結果、ホラー的な事に対して科学者みたいな感覚を持ってしまっていることは確かだ。
「か・の・く・んっ!!」
腹を殴られた。剛速球の野球ボールを食らったかのような痛み。
腹を抑える俺に彼女が言う。
「起きたかな、叶くん?」
聞いたことのある声なのが、不運すぎる。
「なんで、こうも俺の悪い予感って当たるんでしょうね。」
もう名前も呼べなければ、顔も見たくないと目をつぶったまま言う。
「昔っからだもんね、君の『野生の勘』みたいな能力」
先ほどから腹の上に結構な重量を感じる。目を開ける。
そこには、とても見たことのある童女が、乗り物の様に俺に乗っかり違う知り合いがよくする笑みを浮かべていた。
「先日ぶりだね、叶くん。」
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