暁 〜小説投稿サイト〜
ボカロ☆ロマンス
第13話 迫り来る大事件の予兆
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ーレン視点ー

《アンドロイド研究所》それは感情を持つ俺たちのようなボーカロイドにとっては地獄とも言える場所だった。あくまでボーカロイドアンドロイドを道具として扱い、様々な実験を繰り返し、自分たちの利益のためだけに俺たちを使う極悪人の巣窟…想像するだけでもヘドが出る。実際、《アンドロイド研究所》にいた時は俺も地獄の苦しみを味あわされた。《アンドロイド研究所》に至るまでの記憶を全て失ってしまうほどに。
《アンドロイド研究所》には一応、優秀な研究者がたくさんいた。その研究者は代わる代わる恐るべき実験を俺たちボーカロイドに対して実行していった。俺にとっては全員悪魔のような人間だったが、その中でも今俺の目の前にいる大津という男は記憶に残っている。なんとも言えない微妙な関西弁を話し、常にヘラヘラとしている。それだけでも割とインパクトが強いのだが、当時俺やリンと同じ部屋に収監されていた、巡音ルカの感情を完全に喪失させることに成功させた悪魔でもあるからだった。
もちろん、俺もその施しを受けるはずだったがある事件によってその直前に脱出したのである。

大津「鏡音レン…久しぶりやな」
大津「会えてうれしいで…」

大津はニヤニヤとしながら俺に話しかける。その笑顔を見るたびに俺は背筋が凍る思いがする。相変わらずなんて不気味な男なのだろうか。

大津「ほら…ルカも挨拶し」
ルカ「…は…じめまして」
レン「…??」

…まさか。巡音ルカは記憶さえも失っているのか??
巡音ルカ…いやルカ姉には大変お世話になった。《アンドロイド研究所》の辛い生活の中でも唯一の幸せな思い出…それはルカ姉との出会いだった。ここではその回想はとりあえず割愛するとして、とにかく俺もリンもルカ姉にはたくさんの幸せを貰ったと覚えておいてほしい。

大津「…鏡音レン。わいはお前にもっとたくさんの実験をしたいと思っているんや。お前もこのまま微妙な人間的感情を残した半人半機になる前に最高のアンドロイドとして生まれ変わりたいと思わんか?」

大津はヘラヘラと笑っている。あの時からなにせ1年以上も経っていたのに大津のやつは変わっていなかった。未だに俺らのことを道具のように扱おうとしている。そんな大津を見て俺は改めて奴の救えなさを実感し、奴に対しての最大限の皮肉を込めて口を開いた。

レン「思うわけないだろ。」
大津「えらいきっぱりと言うなぁ。わいのセンチメンタルな心は深く…ふかーく傷ついたで。」
レン「たいそうな棒読みだな。」

大津はまだヘラヘラとした表情を崩さずにこちらに話しかけている。何がセンチメンタルだ…と一瞬思ったが、俺はあることを思い出した。大津はあんなにヘラヘラしてはいるが実はキレやすいことを。確かに大津は天才だが怒りに呑まれたときの奴は、あまりに感情的にな
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