百一 鬼の国
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彼らを率いて、鬼の国へ向かっていたのである。なるべく人気が無いルートをわざと選んだのでかなり遠回りしたが、そうせざる理由がナルトにはあった。
数日前から予感していた零尾の暴走。それに無関係の人間を巻き込まない為、あえて荒野を進んでいたのだが、やはり被害は大きかったらしい。加えて三日間も意識を失ったのを踏まえると、鬼の国が暁に依頼してから五日ほど経っている。一刻も早く鬼の国へ向かわなければならない。
周囲の気遣わしげな視線を一身に受けながらも、危なげなく立ち上がったナルトは、さっと顔触れを確認した。
「面倒を掛けてすまない。……迷惑を掛けた直後に心苦しいが、早速頼まれてくれるか?」
何か聞きたそうな面々を視線で黙殺し、ナルトはその場にいる全員に指示を下した。
ナルトの身を案じつつも頼みを引き受けてくれた彼らに感謝の言葉を告げ、己自身も動こうと扉へ向かう。扉傍の柱を背にしながら腕を組んでいる再不斬の前を横切る。
病み上りにも拘らず速やかに行動を開始するナルトの行く道を遮るように、黙していた再不斬が口を開いた。扉に手を掛けるナルトの傍らで、彼は瞑目したまま静かに問うた。
「……それで。主導権は奪い取れたんだろうな?」
再不斬の詰問を耳にし、ナルトの手がぴくりと止まる。扉の取っ手に指を掛けたまま、ナルトは再不斬に見向きもせず、ただ一言返した。
「ああ…問題無い」
室内の他の面々の耳には一切届かぬ小声同士の応酬。
一度も視線を交わらせずのこの会話は、ナルトの次の一言で終わりを告げた。
「賭けも、忘れなどしないよ」
だから案ずるな、と擦れ違い様のナルトの一言を聞いて、再不斬はうっすら瞳を開けた。
放たれた扉がギイ、と擦れた音を立てて、視界からナルトの後ろ姿を覆い隠す。目の前で閉ざされた扉と共に、再不斬もまた瞼を下ろした。
寸前に見た小さくも大きい後ろ姿を脳裏で描きながら、心中でナルトの言葉尻を捉える。
(忘れるわけないか、お前は…―――)
赤々と篝火が燃え立つ。
その背後に張り巡らされた幕の前で、男が一人座っていた。
頬肉が落ちたその顔は以前と比べ、げっそりと痩せ衰えており、何より生気が無い。
「何処だ、四人衆」
「既に御前に」
男の呼び掛けに応じて、四人の青年達がさっと跪く。
呼び出しておきながら、男――黄泉の双眸は虚空を見つめ、その眼線は何処かあらぬ方向を向いていた。
「状況は…?」
「…遺跡周辺に幾重もの幻惑系の術が施されています。おそらく【狐狸心中の術】及び【魔幻・此処非の術】あたりかと…。更には砦から向こうに行けないよう結界まで…。我々ならともかく幽霊軍団にはこの結界から出る事は敵わないでしょう」
鬼の国の奥地にあ
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