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渦巻く滄海 紅き空 【上】
百一 鬼の国
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「しかし何故俺を呼んだ?他にもいるだろう?」
「…護衛に向いている者が他にいると思うか?」
「………………」
「………………」

遠い目で理解し合ったその無言の会話は、ナルトが倒れるほんの一週間ほど前に交わされたものだった。













不意に、意識が戻る。

現実の世界で眼を瞬かせた彼は、その双眸の蒼を周囲に巡らせた。
途端、瞳に飛び込んできたのは、文字通りナルトの許へ飛んできた者達。彼らの顔は何れも憔悴の色が濃かったが、それよりもナルトが目覚めた事への安堵感のほうが勝っていた。

「ダーリン、よかったぁあぁぁ〜…っ」
「ったく、しんぱ…じゃなくて、驚かせやがって?この大バカヤローがっ」
抱きつこうとする香燐をひっぺがしながら、多由也が呆れたように文句を言う。
ぎゃいぎゃい額を小突き合わせて睨み合う赤髪の少女らの隣で、キンがさりげなくススス…とナルトの傍へ寄った。
「大丈夫か?水、飲むか?」

さっと手渡された水をありがたく頂いて、ナルトは「ありがとう」とお礼を述べる。
この気が利いた素振りから実は甲斐甲斐しく介抱してくれたのは、キンではないかと察して、彼はにこり微笑んだ。
みるみるうちに顔を真っ赤に染めたキンが眼を逸らすのを不思議そうに見遣ってから、ナルトは後方に控えていた男性陣に視線を送る。
正確にはその目線は、ドス・水月の後ろにて、扉傍の柱に身を寄り掛からせている再不斬に向けられていた。

「やれやれ。一時はどうなる事かと思いました」
「全くだよ。アンタにはボクが再不斬先輩から首切り包丁を奪う瞬間を見てもらわないといけないんだから。こんな所で倒れられたら困るよ」
「おいこら。誰が誰から奪うって?」

ドスに続いての水月の発言に、再不斬が片眉を吊り上げる。悪びれもせず、「あっれ〜??聞こえなかったんスかぁ〜?」とふざけた物言いで笑う水月に青筋を立てながら、再不斬はナルトに向き合った。

「零尾、といったか?アレの暴走を止めた直後にお前は倒れた……憶えてるか?」
「……俺は、どのくらい寝ていた?」
ようやく本題を切り出してくれた再不斬に感謝しつつも、顔を伏せる。その視線の先は自らの身体。
体内の零尾、否、黎明の様子を感じ取りながら、ナルトは再不斬の言葉を待った。

「…お前は、三日間意識を失っていた」
「三日…そうか、」
三日間も時間を無駄にしてしまったのか、と無言の内に悔恨の情を潜ませて、ナルトはようやっと身を起こす。どうやら自分を休ませる為に何処だかの宿を借りてくれたらしい。

ペインから鬼の国の依頼を一任されたナルトは即座に白と君麻呂に連絡を取った。そしてある事を早急に頼むと、自身はジャングルの奥地のアジトにいる再不斬達と合流。そして
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