百一 鬼の国
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否、体内の黎明の様子がおかしくなった頃から感じていた予感が的中したと、内心溜息をつく。
火の国にほど近い鬼の国は小さな国家にも拘らず、大国の侵略を受けずに依然として残っている。
それはひとえに、鬼の国にいる巫女の存在と、そしてその巫女に封印されし妖魔が大いに関係していた。
妖魔の名は【魍魎】。かつて大陸の制覇を企んだ忍び達の一団にて、異界より呼び出された、想像を絶する強大な魔物とされている。
不死身の幽霊軍団を率いし【魍魎】は諸国を蹂躙し、大陸を破滅手前まで追い込んだ。
その危急存亡を救ったのが、鬼の国の巫女であると言い伝えられている。よって巫女は鬼の国にて妖魔を見張り続ける宿命を代々担っているのだとも各国では伝えられていた。
実際のところ、太古から在ったとされる【魍魎】自体が本当に存在するのかも疑わしいが、その巫女の血筋が未だ途絶えていないという事実が妖魔の存在の証明とも言えるだろう。
以上の事柄の真偽のほどは定かではないものの、鬼の国の巫女が予言をするというのは有名な話だ。
だがその予言がどういった範囲を示すのか、そういった類は謎である。
遥か先を見通すのか、はたまたそう遠くない未来を予知するのか。どういった犯罪が起きるのか、或いは誰が誰に殺されるのか。
そういった事を予言出来るのであれば、その未来を阻止しようと大抵の者は動くだろう。だが、それでは一部の者は非常に困る。
もちろん犯罪を起こす側――加害者の立場である者達だ。
その代表的な例であるが故に、『暁』のリーダーたるペインは出会い頭にナルトに告げたのである。
予言が妨げになるようなものならば、その巫女を消せ、と。
「…その依頼、引き受けよう」
妙な胸騒ぎを覚えつつも、ナルトはペインの言葉に承諾の意を返した。もちろん己の有益になる条件付で。
「ただし、依頼を受けるにあたって俺一人に全権任せてもらおう。無論、事後報告はする」
「構わない。巫女の予言が妨げとなるかの見極め、及び、妖魔が尾獣か否かの結果さえ判ればよい」
ペインの承諾を得て、ナルトは内心ほくそ笑んだ。
言質は取った。依頼を受けるにあたってのメンバー構成も、鬼の国の真意も、巫女の予言の見極めも、強力な妖魔とやらの対処法も全てがナルト一人に委任された。
それだけナルトは『暁』に信用されている。たとえ彼自身は誰一人信頼していなくとも、信用に値する何かがナルトにはあった。ちなみに、ペイン本人は六道とも別の用事で忙しく、小南も長門の傍にいなければならない。どちらにせよ、表向き要人警護が主なこの依頼は最初からナルトに頼むつもりであった。
ナルトならば悪い結果にはならないだろう、と全てを委任したペインが【幻灯身の術】で消えてしまう前に、聊か疑問だった点をナルトは問うた。
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