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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四話 平穏に向けて
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走したらと思うといてもたってもいられなくて……でも結局、僕一人じゃ何もできなかった」

 結果、部外者を二人も巻き込んだ上に、管理外世界の住人を一人、魔導師にしてしまった。

 それは事故と言えることだし、結果論だ。

 とは言え、避けられた結果であることも事実で、それはユーノ自身が落ち込む原因の一つと言える。

「……てい」

「うっ!?」

 そんなユーノに対し、俺はデコピンを喰らわす。

 高町もえ!? と驚いた様子で見るが、俺は呆れながら言葉を紡ぐ。

「勘違いするな。 一人じゃ何もできない? 一人でなんでもできる人間なんて、この世にはいない」

 それはアマネが俺に教えてくれたことのパクリだ。

 ……うん、二番煎じ感が否めないが、どうにも言わずにはいられなかった。

「他人や仲間に迷惑をかけないように一人で何でもしようっていうのは、優しい考え方だと思うけど中身が伴ってないから失敗する。 現にユーノは今、散々な有様だし」

「うっ……」

 両手で頭を抑えながら図星を突かれたユーノは、呻き声をあげて再び俯く。

「か言っても、一人で何でもやろうと思えばユーノじゃなくても散々な結果が待ってる。 しかも失敗した後は結構長いこと引きずることになるしな」

 俺自身、そう言う経験があった。

 一人で何でもしようとして、失敗して、落ち込んで。

 幸福なことに、俺には仲間がいて、すぐに気づいてくれたからドン底まで落ち込まなくて済んだ。

 そんな過去があって、アマネの言葉を聞いたからこそ思う。

「誰だって、どんな立場だって、どんな状況だって、誰かを頼って良いんだ。 それは決して、間違いじゃないから」

 それが今の俺に出せる答え、なんだと思う。

 胸を張ってそう言うと、正面にいる高町は噛み締めるように頷き、ユーノの表情からは暗いものが消えた。

「……ありがとう、小伊坂」

「いえいえっと、話しが逸れたな。 ユーノ、あのロストロギアがなんなのか分かるか?」

 真正面から感謝されることに恥ずかしさを覚えた俺は、話題を逸らす……というか、本題に戻した。

 そこで空気は再び緊張感のあるものになった。

「ジュエルシードって言う名前自体は文献を解読することで分かったんだけど、解析を初めて間もない頃にこんな事態になったから、どういうものなのかは僕もよく分かってないんだ」

「そうか」

 俺は頷いて、ユーノの隣に置かれたアマネに目線を変える。

「アマネ。 ジュエルシードについての情報、調べられたか?」

《ええ。 詳しいことは現在も調査中ですが、こちらのロストロギアを解析したところ、かなり高密度のエネルギーが凝縮されているようです》


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