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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十九話 オーディンからの使者
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いだろう。そこで作戦参謀を辞めることになる俺なら問題が無いということで俺が評価者になったというわけだ。
シュターデンは当然いい顔をしなかった。露骨に“卿に評価など出来るのか”、“ヴァレンシュタインは艦隊司令官に媚びて甘い評価をする”、“小僧同士で馴れ合っている”等、散々に誹謗した。小僧同士、艦隊司令官に媚びるというのはラインハルトのことらしい。
一方評価される艦隊司令官達にとっては死活問題だった。すがるような目で俺を見てくる。たとえシュターデンの評価であっても評価が低いというのは一種のレッテルになりかねない。彼らはシュターデンの評価が根拠の無いものだという証が欲しいのだ、つまり昇進だ。シュターデンの阿呆、余計な事をして仕事を増やすな。
俺が評価を終えミュッケンベルガーの自室へ向かったのはそれから三時間後だった。
「元帥閣下、戦果確認の評価が終わりました。こちらに置きます」
「うむ。ご苦労だった。で、どのようにした」
「全員昇進が至当であると評価してあります」
「うむ、それでいい。これ以上のゴタゴタはたくさんだからな。ご苦労だった」
俺は事前にミュッケンベルガーから甘めに評価しろといわれている。オーディンに早く戻りたいのだ。
「シュターデン少将に恨まれますね」
「まあそうだな。しかし、それを気にする卿ではあるまい」
まあそうですけどね。だからって貧乏くじを引かせる事はないでしょう。
「ところで、ミューゼル少将のことだが、卿はかなり高く評価しているようだが」
「はい」
「どのような男だ?グリューネワルト伯爵夫人の弟だとは知っているが」
「きわめて有能な人物です。一個艦隊は楽に動かすでしょう」
「そうか。次の戦いに役に立つかな?」
「必ず役に立つと思います」
「そうか」
「ただ…」
「なんだ?」
「若いせいか、少々覇気が強すぎます。自尊心も強い。他者から見ると生意気に見え、使いづらく感じるかもしれません」
「使いづらい部下にはなれている。心配はない」
俺のことか?
「……」
「フフフ、気になるか」
この狸爺。
「いえ。それと参謀長には慎重な人物を配するのが良いかと思います。若さに引き摺られる様な事があった場合、止めてくれるでしょう」
「誰かいい人間がいるか?若い司令官を補佐するのだ。余程の人物が必要だが」
「さて?」
結局適当な人物が見つからず、宿題ということになった。原作のノルデン少将のようなボンクラは押し付けられない。俺は適当な所でミュッケンベルガーの自室を辞した。
部屋に戻ろうとすると、ヴァレリーに呼び止められた。俺に客が来ているという。
「ヴァレンシュタイン准将」
「ケスラー大佐、どうして此処に」
ウルリッヒ・ケスラーだった。そうかグリンメルスハウゼ
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