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八神家の養父切嗣
三十二話:戦う意義
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中で最も早く次の行動に移れたのは召喚魔法の探知に優れるキャロであった。

「ここのすぐ上に大きな召喚魔法の反応があります!」
「それって……ここを潰す気なんじゃ!?」
「ル、ルールー、あたしも居るってこと忘れてねーか?」

 だんだんと激しくなってくる振動と降ってくるコンクリートの塊にエリオが顔を青ざめさせる。それと同様にアギトの顔も引きつっていた。まさか自分ごと生き埋めにするつもりかと不安になるがその不安はすぐに払拭されることになる。

 全員が今にも崩れ落ちそうな天井を見つめているために死角となった足元からセインの手が現れる。そしてアギトを掴み元のように地面の中へと消えていく。いち早く察知したヴィータが逃さないとばかりに飛び込んで捕まえに行くが一瞬早くセインは姿を消し、彼女のダイブは無駄になる。

「くそっ! 魔力反応も無しで地面に潜るってことはレアスキル持ちか!」
「ヴィータちゃん、それよりも早く逃げないとリイン達潰されちゃいますよー!」
「分かってるよ! ああ、くそ。アイゼン、ギガントフォルムだ」
『Gigantform.』

 相手の能力にあたりを付けたものの既に手遅れ。悔しさと苛立ちを吐き出すヴィータにツヴァイがそんな場合ではないと急かす。ヴィータも頭では理解しているために頷いてグラーフアイゼンを構える。

 カートリッジが三つ一気に使用され先程とは比べ物にならないサイズに膨れ上がるアイゼン。驚くライトニングの二人をよそにヴィータは鬱憤をぶつけるように今まさに完全に崩壊し始めた天井目がけて振り切る。


「お前ら、バリアでも張っとけよ。じゃあ、行くぞ。轟天爆砕―――ギガントシュラークッ!!」


 まるで巨人が槌を振り回しているかのような一撃が瓦礫を全て粉砕し―――青い空が覗いた。まるでその空間だけが虫食いで穴が開いたように地層を打ち砕き脱出経路を一瞬にして確保する。これで生き埋めになる心配はなくなった。

 そう判断したヴィータはツヴァイにエリオとキャロの護衛を任せ、すぐに地上へと飛び出していく。そこまでの時間で彼女には一切の加減もなく、手を抜いてもいなかった。
しかしながら、既に敵の姿はそこには無く空しく壊された廃棄区画の街並みが待っていただけである。

「ちっ、逃げられたか……レリック一つは奪われたか。他のところは―――」

 他の戦地の状況を確認しようとしたところで空から爆音が響いてくる。まさかと思い、恐怖で肩を震わせながら音の出所を確認する。すると、ヘリが飛んでいたと思われる場所に、まだ出来たばかりの真新しい爆煙が起きていたのだった。

「シャマ……ル?」

 敵の本命はヘリにいる謎の少女であった。





 スコープ越しから空に煙が湧き立つのを眺める。位
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