暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン44 鉄砲水と暗黒の中世
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「でもでも、今回はなんもないんだってば」
『……本当か?なら1つ聞かせてもらうが、あの炎はどうやって出した?やり方を教えたつもりはないが』
「あれ、前にも同じことしなかったっけ?もうずいぶん前にさ」
『は?』
「え?」

 一瞬の沈黙。なんだろう、どうもチャクチャルさんと僕の間に記憶の食い違いがあるようだ。さすがの地縛神といえども、5000年も長生きしてる間にだいぶ記憶力が落ちてきてるのかな?でも僕は今でもはっきりと覚えている。初めてこの炎を出してデュエルを行ったのは、そう、あれは……。
 あれ?なぜだろう、その時のことが全く思い出せない。ダークシグナーのこの力の使い方はばっちり覚えてるのに、肝心のその時の思い出がまるでない。かなり前の話なのは分かるけど、具体的な日付が出てこない。

「えっと……」
『……まあ具体的な被害もないし、しばらく様子見せざるを得ないか。だが覚えておいてくれマスター、これでも私はマスターのことを心配しているつもりなんだ』

 深く追求される前に自分から話を打ち切り、それきり黙るチャクチャルさん。本当に何も拾った覚えはないのに、もはやチャクチャルさんの中では何か僕の近くに新たなカードやら精霊やらが増えたとの見方で確定してしまったらしい。いつかそのうちきっちり話し合ってその誤解を解いておきたいとは思うけど、まずはクロノス先生を運んでしまおう。それからゆっくり、話し合う時間を取ればいいか。
 そんなことを考えて、改めて一歩を踏み出した……でも実を言うと、無意識のうちに僕も感じ取っていたのかもしれない。まだほんの小さな小さな、普段なら無視できるような。でも間違いなくそこにある、僕とチャクチャルさんの間にできた溝の存在を。チャクチャルさんは僕が何かを隠していると思い、僕は僕でなぜチャクチャルさんが信じてくれないのかがわからない。お互いの間に生まれたちっぽけな不信感の存在を心の奥底で感じ取ったからこそ、一度チャクチャルさんと距離を置こうとしたのかもしれなかった。
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