ターン44 鉄砲水と暗黒の中世
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逃げた。
その後クロノス先生が追いかけにかかったものの、結局教頭には逃げ切られたらしい。その後もしばらく渋い顔でぶつぶつ言っていたクロノス先生だったが、ややあって何かを決心したような顔で立ち上がった。
「こうなったらこれも生徒のためそして私のため、デスデュエルだろうとペペロンチーノ一気食いだろうと私自らやってやるノーネ!さあシニョール清明、これで探す相手はあと1人なノーネ!」
「先生……んじゃ僕が相手を」
「ノー。私も教師の端くれ、これ以上生徒に危険を押し付けるようなことはできませんーノ。誰か先生方から手の空いた人を探すノーネ」
ついさっきまでナポレオン教頭を追いかけまわしてた人と同一人物だとは思えないほどまともな先生っぽいことを言いだすクロノス先生。だけど、僕だってここで引くわけにはいかない。例え先生が断ろうと、いくらチャクチャルさんが渋ろうと、いい加減我慢の限界だ。
そもそも、だなんて結果論でしかないけれど、そもそも留学生たちがやってきたあの日、僕がオブライエンとコブラが話していたことをすっぱ抜いて学校中にリークしていれば。あるいはその次の日、翔が人質となった時にそれを校長か、いっそ本土の新聞あたりにあることないこと話を膨らませて匿名投稿していたら。あの時はオブライエンを信じるのが最善手だと思ったし、今でもその気持ちに変わりはない。だけど、ここまで被害が出ることがあの時もしもわかっていたのなら……どうだろう、それでも僕に同じ選択ができただろうか。
ただ確実なことは、あの時点でコブラの危険さを知らしめることができていたならばその時点でコブラの追放は確定、このたくさんの被害者も出てくることがなかった、ということだ。
だから僕にはせめて、一刻も早くこの事態を終わらせる責任がある。クロノス先生が僕とはデュエルしないというのなら、多少荒っぽい手を使ってでも。
そうだそうだ、と声がした。僕が止められたはずのこの事態のせいで、たくさんの犠牲者が生まれた。僕のせいだ。僕が悪い。遊野清明が一番悪い。
「……えい」
「ムムム?た、大変なノーネシニョール清明、火事なノーネ!早く消火器を……」
「無駄ですよ、先生。この地縛の炎は物を燃やす力こそありませんが、一度張られたらデュエルが終わるまで中からも外からも干渉することはできません。さあ、デュエルと洒落込みましょう」
『待てマスター、なぜ「それ」を知っている!?私はその結界の張り方も、そもそも結界自体見せた覚えは一度もないぞ!?』
どこか遠くから、チャクチャルさんの声が聞こえる。ぼんやりとそれを聞きながら、自分のことなのにどこか他人事のように感じていた。そういえば、なんで当たり前のように僕はこんなことができているのだろう。チャクチャルさんと同じ紫色の炎なんて、一体どこで出
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