ターン44 鉄砲水と暗黒の中世
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「万丈目が倒れたぁ!?」
その知らせがレッド寮でゴロゴロふて寝していた僕のところに飛び込んできたのは、僕とのデュエル後にさらに新しく組み直したデッキを片手に意気揚々と出て行った万丈目を見送った、その夜のことだった。
「……オーケーオーケー、PDFじゃあ話しづらい、今すぐそっち行くから!」
『それが、ですね、先輩……くっ!』
「葵ちゃん?」
その知らせをわざわざ僕に伝えてくれた葵ちゃんだが、なんだか彼女の様子もおかしい。PDF越しですらわかるぐらい呼吸が乱れてるし、声にもいつもの張りがない。今にも倒れそうなところを気力で踏ん張ってるような彼女の様子に考えるまでもなくピンときて、通話口に向かって半ば怒鳴りつけるように声を荒げる。
「もしもし、葵ちゃん!?もしかして、そっちでデスデュエルやったの?」
『ええ……不覚、ですが……』
「なんでパーティー会場行ってまでデュエルすんのこのデュエル馬鹿!今すぐ鮎川先生連れてそっち行くから、そのまま大人しくしてなさい!それで?倒れたのは何人?」
『この場のほぼ全員、です……』
「はぁ!?」
確かパーティーに招待されたのはラーイエローとオベリスクブルー男女全員+アルファだったはずだ。1人や2人ならまだしも、そんな人数が一度にデスデュエルをした、それはつまりどういうことだろう。自身の説明不足に気づいたらしく、通話口の向こうで苦しそうに葵ちゃんが唸る声が聞こえてきた。
『元々、アモン先輩の、発案で……会場でですね、デスデュエルの、大会が、始まったんです……』
「……とにかく僕もそっち行くから、いったん切るよ」
少なくともアモンは、デスデュエルの危険性をよく理解していたはずだ。そのアモンがわざわざ、被害を拡大するようなデスデュエルの大会を開く?ただでさえ今この学校で起きていることはわけがわからないのに、これ以上引っ掻き回さないでほしいものだ。
もっとも、今はそんなこと言ってる場合じゃない。あの葵ちゃんがぶっ倒れる半歩手前ということは、並の生徒なら昏睡状態一直線のパターンだろう。起きるまで寝かしておくぐらいしかできる事はないだろうけど、人手があるに越したことはない。
風呂上りで寝間着だったので学生服を羽織り寮を出る寸前に、机の上に放り出してあった僕のデュエルディスクがなぜか目についた。デュエルするつもりもないのになぜそれが気になったのかはわからない。あるいは虫の知らせ、といってもいいかもしれない。その時は特に何をするつもりもなかったが、とにかくそれを引っ掴んでから改めて寮を飛び出した。
『軽い地獄絵図だな。だが私好みの地獄ではない』
「何言ってんのチャクチャルさん。馬鹿なことしてないでちょっとは手伝ってもらえませんか、ね!」
そこらへ
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