暁 〜小説投稿サイト〜
銀の煌めき
銀の煌めき 1話 始まりの朝
[3/5]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
が洗うからいいよ」
「そういう訳にはいきません、私はここで働く義務があります。梨桜様は、今日も学校に行かれるのでしょう。さあ、身支度をお済ませください」
  いつも、自分で洗おうとするとこうである。何を言っても美雪は絶対に引き下がらないので、私は今日もいさぎよく諦めた。
「そんなに言うなら…いつもありがとう、美雪さん」
  私は、台所を出て、自室へと戻った。
「えーと、今日は…」
  時間割を思い出しながら、必要な教科書類を、本棚から取り出し、鞄に入れる。それが終わると、私は携帯をポケットに入れ込んだ。
  部屋の壁にかかっている時計を見ると、7時3分を指していた。
「少しいつもより早いなー。まぁ、早い分には問題ないか」
  私は部屋を出た。
  さっきと同じように、階段を降り、居間へと向かった。
「兄さん、そろそろ行こ」
  すると、居間にいた帝斗は、誰かと携帯で話していた。
「そうか、じゃあ19時にいつもの場所で落ち合おう…うん、じゃあな」
  帝斗は、そう言うと通話を切った。
「誰と話してたの?」
「志倶覇だ。少し怪奇な悪魔が現れたそうだ、今日の19時に志倶覇ん家に来いって。上司命令だそうだ」
  帝斗は、魔導書を消した。消した、と言うより、帝斗が所持する固有結界に転送した、が正しい。
  固有結界とは、上級魔法師が持つ、倉庫的な空間である。簡単に言えば、異次元空間である。
  主に魔装などを保管するのに用いられる。梨桜も持ってはいるが、キャパシティーは帝斗の一割ほどしかない。
「じゃあ、行くか」
「うん、そうだね」
  私は帝斗と、居間を出た。
  部屋を出て、廊下を歩いていくと、玄関には、美雪が立っていた。
「じゃあ、美雪さん、留守番頼みます」
「はい、帝斗様、梨桜様、行ってらっしゃいませ」
「行ってきます、美雪さん」
  私は、そう言うと帝斗と一緒に家を出た。
  外に出ると、また更に冷たい冷気が私達を襲う。
「流石に寒い…体感魔法をかけるか」
  帝斗はそう言うと、梨桜の手を引き、家の中に戻った。そして、玄関の扉を閉めた。
「どうなさいましたか? 帝斗様」
「寒いから体感魔法をかけるんだ」
  美雪は、はぁっとため息をついた。
「魔法はそういうためにあるものではありませんよ」
「使えるものは使う。それが俺のやり方だ」
  帝斗は、そう言うと固有結界から、刃渡り30センチ程の短剣を取り出した。これは魔装の一つで、魔法を行使するのに、使用されるものである。しかし、斬りつければ普通の刃物同様、ある程度のものは切れる。
  帝斗は短剣を右手に握り、左手を広げて前に突き出した。
「自然理魔法、体感温度5度上昇」
  帝斗がそう唱えると、
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ