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銀の煌めき
銀の煌めき 1話 始まりの朝
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  ちりりりりりーん。ちりりりりりーん。
  部屋に最大音量で鳴り響く、起床アラーム。
「むぅ…朝かぁ…」
  私は枕もとにある携帯の、アラームを、切ろうと、目を瞑ったまま、手を枕もとにのばした。
  カチッ。
  電源ボタンを押すと、うるさいアラームは止まった。体を起こし、ぐっと伸びをする。まだ、昨日の疲れは残っているが、今日は金曜日。あと1日で休み。だから私はパッとベッドから飛び降りて、寝巻きから制服に着替えるべく、制服があるクローゼットへ向かった。
  私のクローゼットのすぐ横の壁には大きな鏡がある。私は鏡に映る自分をしばし眺めた。
「今日はあんまり髪はねてないね。直すのも楽そう」
  クローゼットを開け、ハンガーにかかっている制服を外し、いそいそと着替える。
  寝巻きをある程度たたむと、寝巻きを持って部屋から出た。
  部屋を出た途端、冷たい冷気が私を襲った。
「ううっ〜、ささ、さむ〜」
  急ぎ足で廊下を歩き、階段を降りる。階段はミシミシと小気味良い音を立てるが、同時に私は、この家、大丈夫かなぁ? と、思った。なにせ、築100年に及ぶ、古い家なのだ。とはいえ定期的にちょっとしたリフォームは行われている。電気とガス、それに水道もきちんと通っている。
  階段を降りると、薄緑色のエプロンを身にまとった、一条美雪が立っていた。
「おはようございます、梨桜様。朝食はいつも通り、居間に準備しております」
「美雪さん、いつもありがとう…はい」
  私は、寝巻きを美雪に渡した。彼女はいつも私が階段から降りてくる時に、ここに立っている。それは私の寝巻きを受け取るためである。
  私は居間へと向かった。
  居間には早々と制服を着た兄がいた。コーヒーを飲みながら、またヒエロ…なんたらとかいう、文字で書かれた、魔導書を読んでいた。
「おはよう、兄さん、今日は何読んでるの?」
「これは、太古の悪魔たちが考えたという、自然理魔法についてをこれまた太古の魔法師が書き綴ったという物だ。なかなか興味深いことが書かれていてな、協会長イチオシの魔導書だ」
「へ、へぇ、そうなんだぁ…」
  帝斗は本をとじ、私をジロッと見つめた。
「な、なに??」
「お前、ひいてるな? 現代魔法より、古代魔法の方が学べることが多いと言うだろ?」
「それを言うなら、勝利より、敗北から学べることが多い、でしょ?」
「そうとも言うな」
「言わない…ふぅ…」
  私は、ソファに腰をかけた。テーブルには既に朝食が並んでいる。今日は洋風な献立で、トースト、コーンスープ、目玉焼き、ウインナー、レタス、ヨーグルトだ。洋風朝食のテンプレである。
「兄さんはもう食べたの?」
「あぁ、今日は5時に目が覚めたんだ」
「はや!
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