暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
番外編 〜最期〜
あたしの望み
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ポーズされた……』
『え……提督から?』
『うん』
『ホントに?!』
『う……うん』
『よかったわね隼鷹!』
『ありがと……』

 提督からのプロポーズを受けた後、そのことを真っ先に伝えた飛鷹は、自分のことのように喜んでくれた。『妹と義理の弟を守るためにも、私はこれからも頑張らなきゃね!』と張り切り、次の日から提督にも姉の顔を見せ始めていた。

 その後、飛鷹が轟沈し、他の空母のみんなも轟沈していき……最後に残ったあたしは、皆の艦載機を受け継ぎ提督と共に生き抜いて、平和な世界で幸せに生きようと決意したのに……皆の分まで、提督と幸せになろうと決心したのに。

――いつまで腑抜けてるのよ!

 懐かしい声が耳元で聞こえた気がした。いつも私のことを心配してくれていた、姉の飛鷹の声だ。もう長い間聞いてなかったのに、今も鮮明に思い出せる飛鷹の声が聞こえた。

「飛鷹?」

――提督にはいつかまた会える それよりも今は、自分の仕事をしなさい!

 ……そうだね。提督にはまた会える。すぐかもしれないし、すぐじゃないかも知れない……でもきっとまた会える。ならば今は泣いてる場合じゃないね。今は戦う時だね飛鷹。

 改めて戦場を見る。球磨と北上が敵陣に切り込み、加古があたしを守っている。三人の連携を見るに、目的はあたしの防衛。……ならばあたしが取るべき行動はひとつだ。そしてそれには、加古の協力が必要だ。

 加古に近づく。加古は球磨と北上が倒しそこねた敵艦を正確に打ち抜いていた。近づくあたしに気がついた加古の目にはまだ光が宿っている。加古もまだ、この戦いを諦めてはいない。

「ごめん加古。待たせたね」
「もういいの?」
「ああ。今はやらなきゃいけないことをやるよ。提督とは、その後で会えばいい……加古、頼みがある」
「ん?」
「あたしはこれから艦載機を召喚する」
「だね。空母はそれが……」

 あたしの方を見ることなく、冷静な砲撃を敢行し続けている加古。今も球磨が撃ち漏らした敵を一体、重巡の強烈な砲撃で始末していた。

「仕事だッ……!」
「制空権が取れれば、あんたなら観測射撃も出来る。それまでの辛抱だ。それまであたしを守ってくれ」

 うぬぼれでもなんでもない。この絶望的な状況をひっくり返せるのは、空母であるあたし以外にいない。

「オーケー。隼鷹は召喚に専念して。私たちが指一本触れさせない」

 加古は笑顔でそう答えてくれた。ありがと。恩に着るよ加古。それじゃあやろうか。

 飛鷹譲りの巻物を大げさに広げ、あたしは召喚術の準備に入った。加古が球磨と北上に指示を飛ばし、あたしを敵から守ってくれる。おかげであたしは召喚術に専念が出来る。ならばあたしは、一秒でも早く術を完成させよう。あたしはただ
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