暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
番外編 〜最期〜
私が守っていたもの
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的に謝罪の言葉が出た……今回、ハルがくれたショルダーライトがなければ、私はここまで帰ってこれなかったのかもしれない……それなのに私は、ショルダーライトに血をつけて使い物にならなくしてしまった……そのことが、どこかでひっかかっていた。

「川内! 何があった? ビス子はどうした?!」
「ごめん……こっちにとんでもない数の敵艦隊が迫ってる……」
「?! なんで連絡しなかった?!」
「ジャミングされてたみたいで……私もビス子も、無線が全然通じなくて……」

 事の次第を説明した後、提督は私のことをハルに任せ、ドックを出て行った。これで提督は、ここに迫ってくる敵への対策が取れる。よしんば対策が充分でなくとも、市街地のみんなやハルたちを逃がす余裕が出来る……

 私は、私にとって大切な人たちのことを守ることが出来た。私にとって大切な人たちが守りたいものを、守ることが出来た。

 その場を離れた提督の代わりに、ハルが私を抱き寄せてくれた。ハルが私の肩に手を回したせいで、私の焼けただれたむき出しの背中にハルの手が触れた。そんなとこ触ると血で汚れるのに……それに傷も痛む……でも、不思議と悪い気はしない。傷の痛みが気にならないほど、全身に安らぎが広がっていく。

「いたたた……ニッヒッヒ……球磨……ヤキモチやいたらダメだよ……?」

 口をついて出た一言だった。球磨と仲の良い男性にして、恐らくは球磨の将来のダンナ様……そんな人に抱かれて安らぎを感じてしまった私は、悪い子だろうか……

「ちゃんと足の裏もかいてよ……左足はかゆくないから、今日は右足がいいな……」
「……分かった。今日だけは却下しないでかいてやるから。だからちゃんと店に来い」

 なんとなく気恥ずかしくなり、シャンプーした時に右足をかいてもらうことを約束した。私の左足はもうかゆくなることはない……恐らくは今日シャンプーした時にかゆくなるのは、きっと右足だろうから。

 ハルは、私の右足をかいてくれると約束してくれた。そしてその瞬間、私は胸にとても心地よい暖かさと、大きい充足感や安らぎ、心地よさ……そういったもので満たされたことを感じた。

 ……今わかった。そっか。きっとこれが、隼鷹が提督に感じて、球磨がハルに感じて、神通がアキツグさんに感じた……私が守りたかった気持ちなんだ……こんなに温かいものだったんだ……こんなに心地いい気持ちを、守れたんだ……。

「神通……那珂……あり……が……これ……で……やせ……」

 目を閉じる寸前、自然と頬をハルの胸に寄せてしまい、球磨への罪悪感と、それ以上の安らぎに身を委ねながら目を閉じた。ごめんね球磨。でもこれで最期だから。もう二度とこんなことしないから、今だけ許して。今だけハルを感じさせて。

 思い出してみれば、
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