暁 〜小説投稿サイト〜
水の国の王は転生者
第二十二話 アントワッペン市街戦・前編
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「まったくです」

 ベラベラと喋る貴族達に、ミシェルはわなわなと震え、その怒りは頂点に達した。

「貴方達は……貴方達は一体今まで何をやってたんですか!」

「いきなり何を……」

「さっきまでは、殿下の前では神妙そうに話を聞いていたのに! あれは嘘だったのかっ!!」

 ミシェルの言葉に徐々に剣呑になる貴族達。

「何処の木っ端貴族の娘か分からんが、無礼な!」

「何が無礼なもんか!」

「お嬢さん、そういう口の利き方は良くないよ」

 口の利き方をたしなめられながらも、ミシェルは民衆を助けようと説得をしたものの、多勢に無勢だった。

「……もういい! こうなったら私一人でも助けに行く!」

 痺れを切らしたミシェルが単騎での突撃を言い出した!

「え!? ちょっと待って」

「もう待たない! そこの人! 空いている馬か何か有りませんか?」

 ミシェルはド・ブラン夫人に聞いた。

「そうねえ、あの馬なんかどうかしら?」

 そう言って、馬小屋に繋がれている、数頭の馬を指差した。

「ありがとう!」

「けど、お勧めしないわ。死にに行くようなものよ?」

「こういう時こそ貴族の真価が問われるのよ。このまま民衆を見捨てたら貴族を名乗る資格は無いわ!」

「ちなみに馬には乗れるの?」

「たしなみ程度に!」

「そう、分かったわ。それと私も行くから」

「その身体で乗れるんですか?」

「貴女の後ろに乗せて貰うわ」

 身長が130サントぐらいででっぷりした身体では馬には乗れない。

「分かりました」

 手ごろな馬を引いてきたミシェルは、卸したてのドレスのスカートの裾を破って馬にまたがった。
 ド・ブラン夫人は杖を出してレビテーションで浮かびミシェルの後ろに乗った。

「僭越ながら、私めも連れて行ってはいただけませんか?」

 声を上げたのはマクシミリアン付きの執事セバスチャンだった。
 セバスチャンは前装ピストル2丁と銃剣を付けたマスケット銃で武装していた。

「心強いわ、ミスタ」

「失礼ですが、鉄砲を撃った事は?」

「若い頃はメイジ殺しとして、それなりに名前を売っていましたので力になれるかと……」

 そう言いながらセバスチャンも馬小屋から馬を引いて来た。

「分かりました、おねがいします……マクシミリアン殿下のお言葉が心に響いたのなら私に続け!」

 ミシェルは杖を天高く上げて叫んだ。

「民衆を救う事に古いも新しいもない! 貴族としての義務を果たすまでだ!」

 ミシェルの演説に心が動いた貴族が一人二人と現れた。

「ありがとう……行こう! 民衆を救う為に!」

 ミシェルとド・ブラン
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ