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水の国の王は転生者
第二十一話 反撃の炎
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んてこと無いわ。私達の街ですもの」

 フフンッ! と、ド・ブラン夫人は鼻息荒く胸を張った。

「折り入ってド・ブラン夫人にお頼みしたい事がございます」

 クーペはマクシミリアン救出の助力を願い出た。

「まぁ! 王子様が!? ……分かったわ、協力しましょう」

 そう言ってマクシミリアン救出を承諾してくれた。

 クーぺたちは、ド・ブラン夫人に紹介されたラザールと供に、マクシミリアン救出の作戦を練り始めた。
 ……日は西へと傾き夜が迫っていた。




 ……日は落ち、夜がやって来た。

 10人の増援は予定より早く到着し、クーペの指揮下に入っている。

 そして、フランシーヌたちはド・フランドール伯の屋敷にカチこむ為、ド・ブラン夫人の用意した馬車に乗り込んでいた。

「増援が来たとしても、密偵団員と私達、そしてド・ブラン夫人の私兵を合わせて50人程度、それで大丈夫なのかしら……」

 フランシーヌが心配そうにつぶやくと、向かい側に座っていたド・ブラン夫人が前を走っている鉄張りの馬車を指差した。

「大丈夫よ、ほら、あの鉄張りの馬車には、うちのラザールが作った色々な道具が入っているの」

「ラザール……さん……ですか? 一体どういう人なんです?」

「そうね……平民だけど独学で字を覚えた程の頭脳の持ち主ね。時々、よく分からないものを発明したり、道を歩いていたら、突然、地面に数字を書いたりして……チョメチョメと天才は紙一重って奴ね」

「は、はぁ……」

 フランシーヌは何と言ってよいか分からなくなり、米神辺りから汗を垂らして相槌を打った。

「あの馬車にはどういった物が乗っているんですか」

「火薬の詰まった細長いものよ。火をつけると飛ぶのよ」

「そのラザールさんはどうしてそんな物を作ろうと?」

「そう言えば、前に言っていたわね」

「何をですか?」

「何でも子供の頃、火薬の詰まった柱とそれを積んだ、馬を使わず進む馬車を見た事あるって」

「馬を使わない馬車って……どうやって進むのかしら」

「ラザール本人もどうやって進んだのか分からないって言ってたわ」

「フネみたいに、風に乗るのかしら?」

「さぁ? しかも、火薬の詰まった柱を荷台に積んでいて、その柱は火を噴いて飛んでオーク鬼を一撃で粉砕したって」

「火を噴いて飛ぶ柱って……」

 ついに許容範囲を超えたラザールの話に……

(狂ってるのかしら……)

 と、フランシーヌは、思わずそう評した。

「でも、その出来事が切欠でこっちの道に進んだって言ってたわ。いつの日か、その馬車と同じ物を作るって息巻いてたわ」

「あの鉄張りの馬車が、目標の馬車って事なのですか
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