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ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第223話 エクスキャリバー
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ュウキの方に向ける。すると、リュウキの持つ長剣の刃から、雷光が迸った。それらは トールの左手の方へと還ってゆき、放電を繰り返しながら、右手のミョルニルへと吸収された。

「――む。……雷神剣は終わり、か。短かったな」

 ぼそっ、とリュウキは呟いた。
 確かに、ソードスキルの中には 雷属性の攻撃はある。だが、最初から雷を纏った剣は今の所、実装されていない。

 リュウキ的には雷の力は嫌いではない様だ。それを感じ取ったのか トールは頬を上に上にと釣り上げながら、笑みを浮かべていた。

「だが――、褒美をやらねばならんな」

 そう言いつつ、トールは手を掲げた。

「褒美なら、クラインが妥当じゃないか? ……あんた(・・・)を助けだしたのは、あいつだ」
「へ?」

 目の前の《トール》と助けだした麗しき姫《フレイヤ》を同一に考えたくないクラインだったのだが、そんなのお構いなく続ける。トールは 『判っている』と言わんばかりに、手を翳したまま少し下へ手を下ろした。

 すると、クラインの頭上で雷光が瞬き、次の瞬間には 最初にフレイヤに渡したサイズの金槌が現れ、クラインの元に具現された。

「重ッ……!?」

 その大きさからは想像できない程の重量感がある。
 ずしり、と重い金槌を両手でしっかりと受け取ったクラインを見て トールは言った。

「《雷鎚ミョルニル》。正しき戦のために、使うがよい。――では、さらばだ」

 それ以上は何も言わず、トールが右手を翳した瞬間、ガガァン! と青白い稲妻が広間を貫いた。場の全員が反射的に、眼をつぶり、再びまぶたを開けた時には、そこにはもう何者の姿も存在しなかった。
 メンバー離脱ダイアログが小さく浮かび、つい先程まであった場所のHP・MPゲージが音もなく削除された。

 そして、それが合図であったかの様に、スリュムの消滅した地点に、ドロップアイテム郡が滝の様に転がり落ちては、パーティーの一時的(テンポラリ)ストレージに自動格納されて、消えていった。
 最後のひと欠片まで格納されたと同時に、ボス部屋の光度が増して、闇を遠ざける。壁際に山積みにされていたオブジェクト郡は残念ながら、これも薄れて消えてしまっていた。

「………ふぅ」

 それなりに、緊張をしていたのであろう、リュウキは小さく息を吐いていた。
 丁度、すぐ隣では キリトがクラインの隣に歩み寄っていた。

伝説武器(レジェンダリーウェポン)ゲット、おめでとう」
「ってもよー。オレ、リュウの字に譲ってもらった感満載なんだがよぉ?」

 クラインは、多少なりとも感じる物があったらしい。それなりに研鑽を積んできたと言う自負があるからこそ、譲られる、と言うのはあまり気持ちの良いものじゃない様だ。
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