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破壊ノ魔王
一章
15
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願い……」


なのに女の人はブルブルと震え、優しかった声は恐怖の色しかない。ゼロは変わらない目でそれを見下ろすだけ


「3日。時間をやる。受けるよな?」


ゼロは一枚の紙をちらちらと女の人の目の前に散らかせる。女の人は迷うことなく、ぱくりとそれをくわえ、ばっと走り去った。追うこともなく、ゼロはタバコに火をつける


「……あー。このマヌケ」

「あの女の人……なにかやったの?」

「昔な」


どうして……
というか、なにを?


「お前みたいなガキでもきくんだな。あの香水。一種の媚薬だぞ。あれ」

「……なんかぼんやりしてた」


今思い返しても、正直悪い気はしない
今はあの怖がった顔で頭いっぱいだし


「この宿の金を支払える小さな子供。いいカモだな。あーやってだまして殺し、金を奪う。随分と簡単にひっかかかるんだな」


う、うるさいやい

………


「ゼロもむかしやられたの?」

「……ククク」


よかった。怒んない


「俺に色仕掛けなんて味なまねしやがるから、ちょっと幻術かけてやったんだよ。背中をナイフで抉られるって幻覚。まぁ……随分とトラウマになっちまったようで」


おおぅ……
そんなことなんてことないですよーって顔できるのはゼロくらいだと思うよ?


「で。俺は夜まで軽く寝るけど、お前はどうする?」

「眠くはないからなんか勉強する」

「決めてねぇのか?」

「うん。とくには。本屋さんがあったらいいんだけど……」


荷物を持つことが嫌いなゼロは全てが現地調達だから、本だって持ち運ぶことはできない。何度も何度もその場所で手にいれた本1冊を読み直してそれでおしまい。ゼロもたぶん夜になったら、ぶらりと買い出しに行くはずだ。服とか煙草とか


「決めてねぇならコレを読んどけ。つーか覚えろ」


ん?珍しい……というか初めてじゃない?読め、なんて


「………………飛空挺の扱い方?」


まって
これ、市販のものじゃないよね?
完全にマニュアルなんだけど!


「あの女が3日でお前の身分証を作ってくる。で、お前はそれを使って飛空挺の乗船許可証をとれ。これからの移動は飛空挺だ」


ふぇええ??
うそ!めっちゃうれしい!!


「でもぼく年齢とかいいの?」


普通決まりあるよね


「そこは手を回してやる。お前はとにかくそのマニュアルを暗記。筆記試験はそこからでるから、丸暗記さえすれば通るだろ」

「筆記はがんばれるけど……実技は?ぼく、運転どころか乗ったことさえないよ?」

「あー。そんくらいやってやるよ」

「へ?」


やってやる
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