Side Story
少女怪盗と仮面の神父 4
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測では、一番深くてもミートリッテの腰上くらいか。
こんな条件で「崖ドボーン」を実行したら、結果は多分「崖グシャ」。それでは何も面白くないし、本気で村人達に大迷惑なただの自殺だ。
ミートリッテはあくまでも海水に飛び込みたいのであって、地面に叩き付けられたい訳ではない。
よって、ネアウィック村での「崖ドボーン」は諦めざるを得なくなった。おまけに、海賊の『依頼』で使える逃走経路も一つ姿を消したことになる。
折角見付けた楽しみが無くなり、またしてもどんより気分に落ちてしまった。
「儘ならぬものね」
はふぅ……と深い溜め息を吐き。さてどうしたものかと、ミートリッテの思考をシャムロックの物に切り替える。
南側が塞がれたとなれば、侵入と逃走に使える道は北側の坂一本のみ。人目を避ける為、一旦村を出て西の山から坂道に繋がる地点まで登り、帰りはその逆を辿るしかなさそうだ。
教会の敷地を出入りするのは深夜と早朝の間、アーレスト神父が確実に眠っている頃。入口の扉に付けられた鍵は針金で簡単に開ける型だった。少なくとも侵入には手間取らないだろう。肝心な礼拝堂内での動きは暗闇の感覚次第。
となれば、次は西の山を探ろうか。果樹園よりもっと遠くに使える足場があれば良いのだが……あの辺りには十分気を付けないと、判りやすい境界線を敷いてない割りにバーデルの国境警備隊がうろうろしてる所為で、一歩間違えれば不法侵入者扱いだ。
そんなに領土を主張したいなら、木に網を吊るすなりなんなりしといて欲しい。境界をわざとあやふやにして、迷い込んだ人間の身代金だの保釈金だのを狙ってるんじゃないの? 迷惑な! ……と思ったが、それを言うとアルスエルナ側も地図上の線に合意しただけで、結局現地には手を打ってない。どっちもどっちか。
いや。村付近に警備隊すら置いてないアルスエルナは、自衛の面で弛すぎる。国端にこそ重要な政治線を引くべきであろうに、地方依存も甚だしい。
税収分働き手をしっかり上手に使える領主が在任していれば問題無いのだろうが、残念ながらお貴族様方の大変優秀なおつむは自身の懐を温める方向にしか働いてない。でなければ、南方領民が財政難に頭を悩ませる必要も、怪盗シャムロックが暗躍する必要も無かったのだから。
まぁ……だらしないとも思える薄政ぶりのおかげで、バーデルの浮浪者だったミートリッテがアルスエルナの領土内でハウィスに拾われたのだけど。
彼の国出るは易し、入るは難しである。
本当にこんなスカスカ状態で大丈夫なのか、アルスエルナ王国。その内バーデルに侵攻されるぞ。実際に海賊来ちゃってるし。先行きに不安しかないってのは、国としてどうなんだ。
「……とにかく、国境線だけは越えないようにしなきゃ。……はぁあー……しんどいよぉ……」
此処でも微妙な匙加
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