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神様になって世界を裏から操ります、黒幕は精霊です〜箱庭の絶対者〜その2
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拓民では、敵わない。熟練の魔法使いと勇者の俺だけで対応している。


「魔物が襲撃してきたぞ!」


 この日も、魔物が攻めてきた。たしかに、ここいらの魔物は、とんでもなく強い。
 けれども、魔王すら倒した勇者の敵ではない――――はずだった。


「くそっ、回り込まれたぞ!」


 魔物の群れに真っ先に切り込んだのは、うかつだった。いつもなら、これで味方の士気があがる。
 だが、いつの間にか足の速い魔物が、迂回するように押し寄せてきたのだ。
 急いで避難所に向かうが、間に合いそうにない。最悪の事態を想像した俺が見た光景は、魔物と互角の戦いを繰り広げている精霊使いの姿だった。
 土の壁で非戦闘員を守り、炎を浴びせて焼き払う。
 元農民の彼らが、魔物と渡り合っているのだから驚きだ。
 とくに、サラマンダーと契約した元近衛騎士――エリーについてきた――は、鬼神のごとき活躍だった。
 サラマンダーは、炎を操るだけではなく、身体能力まで強化してくれるらしい。


 新たに生まれた精霊使いによって、開拓は加速していくことになる。





【精霊と魔法の相違に関する批判的論考  著チルミー・フィル・キュンメル】

 精霊魔法とは、人間が使う魔法とは全くことなる技術である。
 まず、魔法とは何か。それは、人がもつ進化の可能性である。
 人類は最初から魔法を使えたわけではない。
 事実、科学文明や神聖文明で魔法を使っていた記録はない。


 魔法使いとは、繰り返される淘汰の果てに現れた、進化した人類なのである。
 優れた血統と才能を持つ人間だけに許された奇跡こそ魔法なのだ。
 聖王エルドリッジは、その最たる例である。
 アストラハン統一帝国による世界統一という人類初めての偉業の原動力となったものは、魔法であった。
 魔法は、敵を打ち払い、傷をいやし、便利な道具を生み出した。 
 我々の魔法文明は、選ばれし人類の究極の発展形なのである。


 話を戻そう。では、なぜ精霊魔法は魔法とは異なるのか。
 それは、精霊と契約すると、人類の魔法が全く行使できなくなるからである。
 精霊は契約者の魔力を糧に、数々の精霊魔法を行使する。
 しかし、魔法の細かい制御は精霊任せであり、柔軟性に欠けるという大きな欠点をもつ。


 呪文を唱えるだけで、手軽に使える点をメリットと唱えるものもいるが、大いなる過誤である。
 何もかもを精霊に任せてしまっては、精霊のいいなりなることと同義である。
 精霊が契約者に反旗を翻す可能性とて皆無ではないのだ。
 人がもつ魔法という可能性を捨ててまで、精霊に迎合する昨今の情勢に、筆者は危機感を禁じ得ない。
 優良
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