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2部分:第二章
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第二章

「だからね。それでよ」
「動物ですか」
「さて、何がいいかしら」
 早速どんな動物にするか考えるのだった。
「どんな動物がいいかしら」
「どんな、ですか」
「やっぱり合成動物かしら」
 まず考えたのはそれだった。
「例えば狸と虎と蛇を合わせた」
「鵺ですか」
「あれはどうかしら」
「ああ、あれ駄目ですよ」
 ユウキは鵺については駄目だというのであった。
「鵺ですよね」
「ええ、あれは駄目なの」
「だって建物の上で鳴くだけじゃないですか」
 源頼光の話を読む限りではそうだった。ユウキも一応京都人なので知っていたのだ。
「それじゃあドームを破壊できませんよ」
「そういえばそうね」
 亜実も言われて気付いた。実際にそんな顔になる。
「それじゃあ何にもならないわね」
「だから別のにしないと」
「憎むべき巨人のドームを破壊するにはね」
「ええ。何でしたら北朝鮮の将軍様の銅像でもいいですけれど」
「あれは首領様だから」
 親父の方だというのである。どちらにしても碌でもない。
「全く。私こそが首領様に相応しいのに」
「首領っていうかマッドサイエンティストですね」
 まさにそのままであった。
「教授は」
「そうよ。まああの国は後よ」
 とりあえずはというのである。
「とにかくよ。あの忌まわしい場所を破壊するね」
「そうした動物をですか」
「そうよ。何がいいかしら」
 亜実は真剣に考えだしていた。悪いことにである。
「ここはね」
「そう言われますと」
「ユウキ君の考えはどうなのかしら」
「そんなことはしないに限りますね」
 彼の考えは至って常識的なものであった。
「あの、そんなことより人類社会に貢献するような研究をされてはどうでしょうか」
「そんなこと何も面白くないわ」
 実際に面白くなさそうな顔で言う亜実であった。
「全くね」
「面白くないからしないんですか」
「そうよ。私が科学者になった理由はね」
「人類社会への貢献じゃないんですね」
「この世界に騒動を起こしたいからよ」
 にやりと笑って言う。まさにマッドサイエンティストの言葉だった。
「だからよ」
「全く。自分の才能の無駄遣いですね」
「それは主観の違いよ。私はその為に生きているのよ」
「だから警察に睨まれるんですよ」
「警察が怖くて科学者は務まらないわよ」
 ここでもマッドサイエンティストであった。見事なまでの。
「そんなことをしてもね」
「全く。じゃあ今回も」
「ええ。とにかくユウキ君は反対なのね」
「賛成する常識人なんていませんよ、そんなの」
 ユウキは真剣に咎める顔になっている。
「そりゃ僕も巨人は嫌いですけれどね」
「好き嫌いで行動するのがマッドサイエンティストよ」
 
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