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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十九話 併合への歩み
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今度帝国と同盟で暦を統一する。聞いているかな」
「ええ、聞いています」
「……如何思う?」
如何しよう、夫は何を話して良いか困っているのかもしれない。だから暦の話を持ち出した。何か話さないと……。
「あの、お休みは如何なりますの?」
「お休み? ……ああ、祝日の事か」
夫がウンウンと頷くのが分かった。ホッとした。
「帝国と同盟の祝日をそれぞれ適当に入れるよ。似た様なのは削ってね」
「同盟のも入れますの?」
「ああ、自由惑星同盟建国記念日とか銀河連邦建国記念日とか」
「大丈夫ですの。そんな事をして」
驚いて夫の顔を見た。夫は楽しそうな笑みを浮かべている。
「大丈夫だよ。自由惑星同盟はもう反乱軍じゃない、帝国が認めた国家なんだ。そして三十年後には併合する国家でもある。同盟の祝日を入れる事に問題は無い」
「でも……」
「そのかわり帝国側の祝日も入れる。銀河帝国建国記念日、ルドルフ大帝生誕記念日、皇帝誕生日とかね」
「まあ。……同盟の人達、怒りますわ。それに帝国の人達だって……」
夫が声を上げて笑った。
「不満に思う? 祝日が増えて怒る人は居ないと思うよ」
「でも」
「その他にも憲法を制定すれば憲法記念日、フェザーンに遷都すれば新帝国成立記念日を制定する。同盟を併合後は統一記念日が出来るだろう。同盟市民にも嫌とは言わせない」
夫は悪戯をしているかのように楽しそうだ。
「呆れた。本当に人が悪いんですから」
「そんなことは無い。祝日は少ないより多い方が嬉しいからね。皆喜んで一緒に祝ってくれるよ」
夫がまた声を上げて笑った。本当にそんな日が来るのだろうか? でもそうなれば夫と一緒に居る時間も増えるかもしれない。そうなれば良いのだけれど……。
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