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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十九話 併合への歩み
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領になるしかないって。
でも帝国はそんな事はしなかった。株はただで返してくれたし借金も三十年後は帝国が責任を持つって言ってくれた。年金も払ってくれる。同盟市民の生活を保障してくれたって事だ。でもその代り政府の予算案、何に幾ら使うかって事だけどそれは帝国の承認無しでは作れない事になった。要するに帝国の言う通りに御金を使いなさいって事だ。
ニュースでもアナウンサーや評論家が凄く複雑そうな表情で話していた。経済は安定するけど政治的には同盟は死んだも同然だって。もう完全に帝国の傀儡国家だって言っていた。傀儡国家って意味が分からない。母さんに聞いたら誰かの言う通りに動く国家だって教えてくれた。悔しいな。でも母さんは仕方無いって言っている。ちゃんと生活させてくれるんだから言う事は聞かないといけないって。
先日まで騒いでいた人達は帝国は卑怯だって非難している。でも帝国の提案を受け入れずにやっていけるのかって反論されると皆黙ってしまう。結局母さんの言う通りなんだ。皆貧乏にはなりたくないし良い暮らしをしたい。同盟政府にはそれが出来なくて帝国政府にはそれが出来る。それが全てなんだ。悔しいよ。
宇宙暦 799年 10月 13日 ハイネセン ある少年の日記
また帝国にやられたよ。今日発売された週刊紙に凄い記事が書かれていた。帝国は暦の統一を考えているらしい。そして同盟政府に打診しているとか。打診と言っても多分命令なんだろうな。今日のハイネセンはその話でもちきりだ。同盟評議会では議員達がレベロ議長に喧嘩腰で記事の内容が本当なのかを確認していた。あれ、確認なのかな? どっちかって言うと要求、命令みたいな感じだったけど……。
議員達は暦を統一するなら宇宙歴にすべきだってレベロ議長に言っていた。帝国にもそう言うべきだって。宇宙歴の方が先に有ったんだからおかしな考えじゃないと思う。それに帝国歴なんて同盟市民なら誰も使いたくないと思う。議員達の要求は実現は難しいかもしれないけど気持ちは凄く良く分かる。でもレベロ議長が質問に答えた内容を聞くとちょっと違うみたいだ。
帝国の考えている暦の統一は宇宙歴でも帝国歴でもなく新しい暦を作って一緒に使おうって事らしい。帝国でも宇宙歴、帝国歴のどちらかに統一しようというのは難しいと考えているみたいだ。まあ当然だよね。それに帝国では大併合(最近ニュースでは三十年後の併合の事を大併合って言っている)を単なる統一ではなく新しい国造りだと考えているらしい。だから暦も新しくするんだとか。
なるほどって思った。新しい国造りなら新しい暦もおかしくない。母さんもそれなら仕方ないんじゃないって言っている。議員達もちょっと予想外だったみたいで全然勢いが無くなっちゃった。帝国はやり方が上手いよ。同盟が反対し辛い様
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