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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百八十九話  併合への歩み
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    ハイネセン ある少年の日記



ようやく静かになってきたよ。ついこの前まで同盟領の彼方此方で反政府運動、反帝国運動が行われていた。運動は結構激しかった。毎日毎日何処かで騒ぎが起きてそのニュースばかり、うんざりだよ。このハイネセンでもデモ隊と警察が何度も衝突している。怪我人が何人も出たし逮捕者も出た。死んだ人が出なかったのは幸いだってニュースで言ってたくらいだ。

一昨日、帝国政府が憲法を制定する事を発表した。それで騒いでいた人達も大人しくなった。未だ内容が分からないから安心は出来ないけど市民の権利が守られるんじゃないかって皆が言っている。デモを起こしていた人達は自分達の勝利だ、帝国から譲歩を勝ち取ったって喜んでいる。でも母さんが買ってきた週刊誌に書いてあったんだけど帝国は以前から憲法を制定するつもりだったみたいだ。それに憲法制定の責任者はヴァレンシュタイン元帥、これって意味深だよね。元帥が帝国に戻った途端に憲法制定を発表したんだから。これでも勝ったって言えるのかな?

それに如何なんだろう? 帝国軍が居る時は黙っていて帝国軍が還ったら騒ぎ出す。卑怯だって帝国は思わないかな。ガンダルヴァには二個艦隊が居るらしいけど今回は何もしなかった。でも次は如何なんだろう? 凄い不安だ。ニュースでも余りやりすぎると帝国から報復を受けるだろうって言っている。でも騒ぎを起こした人達は意気軒昂だ。帝国なんて大したことない、もっと声を大きくして自分達の主張をすべきだって言っている。政府は弱腰だって。そうなのかな?



宇宙暦 799年 10月 9日    ハイネセン ある少年の日記



やられたよ、やっぱり帝国は凄く怒っている。昨日、政府から重大発表が有った。同盟政府が発行した国債、それに年金に対して同盟政府が無くなった後は帝国が責任を持って支払う事で合意したって。僕の父さんも戦争で死んだから遺族年金を貰っている。だから年金については大体分かる。でも国債っていうのは良く分からなかった。母さんに聞いたら国債って国が作った借金らしい。これが物凄くあるみたいだ。

そのかなりの部分を帝国が所持している。何でも十兆ディナールを超えるらしい。とんでもない金額で僕にはとても想像出来ない。元々はフェザーンが持っていたものだったんだけど帝国がフェザーンを征服したから帝国の物になったって言っていた。他にも帝国は同盟の企業の株を大量に持っている。これもフェザーンが持っていたものだ。まったく、フェザーンの奴、碌な事をしない。

もしこれを全部買い取れと帝国に言われたら同盟は破産しちゃうそうだ。お金の価値が無くなってとんでもない事になる、その日から何も買えなくなって生活出来なくなるってニュースで言っていた。そうなったら一日も早く帝国に併合して貰って帝国
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