外伝 マリネッタの物語
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サラダのレタスを食べやすい形にパリパリ破るリリの言葉に、思わず顔が赤くなる。彼女が言っているのは、その……周辺には晒すまいと努めている内心のことだろう。所謂乙女心というものだ。
「隠してるんだからあんまり探らないでよ、それ……」
「何を言いますやら……別に恥じらわなくてもいいじゃないですか。二人で酔っぱらって散々醜態を晒した仲でしょ?」
「嫌な仲もあったものね!というか掘り返さないでよそれ!!ああもう、今思い出しても恥ずかしい!」
思わずスープをかき混ぜる手が乱暴になるが、余り無遠慮に混ぜると子供が「具が崩れてる!」と贅沢な文句を言うので仕方なくやめる。あの子供たちにもいつかは自立して欲しいものだが、親のいない子ばかりなせいか甘えん坊が多いのが困りものだ。
「それで?出会いはどうだったんです?まぁ今のベタ惚れっぷりからするとよっぽどロマンチックな出会いだったんでしょうね〜?」
「んん〜……そうねぇ…………………えへへ、そうかも」
アズと初めて出会った時の事件を思い出して、盛大に顔がゆるむ。
あの時は本当に嬉しかった。やっと見つけた新しい居場所を守ってくれた、とっても優しい王子様。別に本当の王子様ではないんだろうけど、私にとってはいつだってそうだ。今でも無邪気な子供のふりをしてアズに近付いてはその優しさに甘えている。
「はぁ〜……もう出会いを説明しなくても結構です。顔で大体は分かったので」
「ええっ!そっちから振っておいて何よそれっ!まぁ待ちなさい!あれは今から二年前、ちび達を集めてこの家に……」
「はいはいすごいすごい。歳の差おおよそ10歳の叶わぬ恋という訳ですね」
「叶うもんっ!!私だってあと5年したらリリの身長を追い抜いてスタイル抜群の女になるもんっ!」
「はっはっは、なら予言してあげましょう。……10歳の時点で胸元が大平原の貴方では無理です!」
「うっさい一生ロリチビの小人族っ!!」
「あっ、何ですかその物言いは!そっちなんかチビで貧乏で貧相なくせに!」
ガルルルルッ!!とスープを混ぜていたお玉を掲げる私と菜箸で対抗するリリ。リーチの上ではこちらが有利。今日こそヒューマンの女の意地を見せる時!たかがちょっとばかりおっぱいが大きいからと言って調子には乗らせない!
「見せてやるわ……ヒューマンの持つ可能性をぉぉぉーーーッ!!」
「越えられない壁という物を思い知らせてあげますッ!!」
女の誇りと意地をかけ――二人の戦乙女は跳躍した。
「………途中で料理を投げ出しちゃったよ、お姉ちゃんたち」
「おなかへったよぉ〜……」
「しょうがない。僕らで料理を仕上げようか……」
「え〜!?でも一番料理上手いのはマリ姉じゃん!俺達に料理なんて出来るの?」
「途中まで
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