外伝 マリネッタの物語
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チをつけていく。
「山火事が起きたのはもう3年も前でしょーが!!しかも燃えた山の近所には牧草地ないし!!」
「適当な事言って値段吊りあげてるんじゃないよ!!」
「どうせ奥さんから貰った小遣いをギャンブルに使いこんで金欠だから金が欲しいんでしょ!」
「なっさけない男だねぇ!やることが一々みみっちいんだよ!!」
「あー!あー!うるせぇうるせぇ!!文句があるんだったら余所の店で買いやがれ!!」
店主が大声で怒鳴ると、女性たちがうっと言葉に詰まる。
商店街のこの店は、街の中でも比較的良質で安定した量の牛乳を売ることが評判だった。だからこそこれだけの人数が突然の牛乳の値上げに文句をつけているのだ。彼の言うとおり別の店の牛乳を買うという選択肢は当然主婦たちにもあった。
しかし、この周辺で牛乳を売っているのは実質的にこの店のみ。他の牛乳屋は彼女たちの住宅街から歩いて10分、往復20分もかかる場所にある。態々そこまで行って、重い牛乳ポットを抱えて帰るのは主婦たちにとっては結構な面倒だった。
そう、この店長は彼女たちの足元を見ているのである。
だが、この時マリネッタが閃いた。
「………そうだ、アズに相談して牛乳を宅配する業者を作ろう!」
「え?」
突然の発言に周囲が呆気にとられる中、マリネッタの頭の中では様々な情報が回転していた。
「遠い牛乳屋と結託した運び屋よ!タンクを台車に乗せて住宅を訪問して売ってもらうの!遠くに行かずとも向こうから牛乳を売ってくれるわ!手数料でちょっと割高になるかもしれないけど、今の平均的な牛乳の原価がリットル120ヴァリスくらいだから……人件費と手数料も含めて300ヴァリス前後に値段が収まる筈!」
「あら、本当にその話が通ったらここで買うより200ヴァリスくらいお得ね!」
「アズさん雰囲気は怖いけどいい男だもんねぇ!きっと明日には実用化してくれるわ!」
「そうと決まったら今日は向こうの牛乳屋に買いに行きましょう!今日一日の辛抱よ〜!」
「な、なんだとぉッ!?」
店主は突然の事態に動揺して身を乗り出すが、主婦たちは既に店に見切りをつけてどんどん通り過ぎようとしている。多少吹っかけても大丈夫とタカを括っていた店主の目算は、貧民街の少女によってあっさりと覆されてしまったのだ。
――このままだと本当に客が来なくなる!!
そう思った店主が咄嗟に叫んだ
「り、リットル280ヴァリスで売る!!」
その言葉を聞いた瞬間、とことこ歩いていたマリネッタが待ってましたと言わんばかりにニヤっと笑った。
「まだ高いなぁ〜〜……それ位の値段なら、自分で運ぶ手間の省ける配達の方がいいかなぁ〜〜……」
「ぐっ……なら260ヴァリスでどうだ!!」
「喪った信
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