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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三話 魔法と少女 後編
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の視線を俺から離させないため。

 後ろで色々と準備している新米魔導師が狙われないため。

「ここだ!」

 触手と俺の距離に間ができた。

 それは一瞬。

 だけど、銃弾を放つ速度ならば一瞬あれば十分だった。

 俺は急ブレーキをかけ、さらに勢いよく後ろに飛び、銃を握る右手を左手で支えるように構える。

 右腕を伸ばし、左腕を曲げる基本的な握り方/ウェーバー。

 低空ながらも体は安定し、触手とも一定の距離をとれた。

 その状態で俺は銃口に自らの魔力を収束させる。

 すると銃口の周りを魔力増大効果の魔法陣、加速効果の魔法陣が取り巻く。

 銃口の中から黒い光が発光し、今か今かと発射の瞬間を待っているかのようになっていた。

 俺は狙いを定め、迷うことなく引き金を引いた。

 これは俺が得意とする、直射砲撃魔法。

 その名は、

「ディバイン・バスター!」

 銃口から膨大な魔力がレーザーのように発射され、流星のように真っすぐな軌道を描いて黒い存在に直撃する。

 黒い存在は先ほど以上の攻撃に驚き、そして激痛からか言葉にならない悲鳴を上げる。

 着弾している部分は貫通する勢いで削られていき、最初の一発目のように再生を行う。

 …が、今だなお放たれ続ける砲撃に、再生が追いつかない。
 
 砲撃の威力、範囲、熱量。

 どれを並べても奴の再生能力では対応しきれないものだったのだろう。

 このままなら倒せる。

 そう思いかけたと同時に、黒い存在に変化が起こった。

 着弾している部分を中心に、体が左右2つに分かれて俺から逃げるように二手に分かれた。

 大きさは半分になったが、その分身軽になって速度が上がってる。

 建物の屋上まで一飛びし、屋根伝えに逃げたそれを見て、俺は少しだけ後悔する。

「これは……ちょっと難易度上げちゃったみたいだな」

 苦笑し、左手で後頭部を掻く。

《そうですね。 初心者にはもう少し動きが鈍い相手を狙った方がいいですからね》

 アマネも俺と同じ苦笑が混じった声で答え、俺は頷く。

 俺とアマネは黒い存在を追わず、分離の際に残された蒼い宝石の回収を担当することにした。

 なぜなら俺たちの頭上を、桜色の砲撃が二発、駆け抜けていったから。

「……あれなら、任せて問題ないみたいだけどな」

《魔法文化がないのが勿体無いと言える才能を、私たちは発掘したようですね》

 俺とアマネは、嬉しそうに笑う。

 そう、俺はあくまで一人で倒すことを目的に戦ってはいない。

 ――――『高町が魔導師としてできることは、その(デバイス)が教えてくれる。 俺は俺でアレの相手をするから、高町
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