暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
後編
5.ハッピーハロウィン!!
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ずりしていた。

「ハル」
「ん? どうした妖怪アホ毛女」
「そ、そろそろ球磨の番クマ? ……そわそわ」
「そうだな。お前にはとびきりのものをプレゼントしてやろう」
「な、何をくれるクマ……わくわくするクマ……!」
「クックックッ……以前にお前が欲しがっていたものだ……」

 俺は、自分へのプレゼントを待ちわびて血湧き肉踊っている球磨へのプレゼントを木箱から引っ張りだす。こいつへのプレゼントは……

「これだッ!!」
「……クマ?」
「クックックッ……」
「これは何クマ?」
「え……だってお前、前に欲しがってた……」

 俺が木箱から出したのは、今まさに旬の、まるまる一尾の秋鮭。秋祭りの買い出しに行った時に、こいつが一尾まるまるの鮭を物欲しそうな目で見つめ、『欲しい』て言ってたのを俺は覚えていた。だから今回、こいつへのプレゼントはこれしかあるまいと思って買ってきたのだが……

 ……ヤバイ何この雰囲気。俺はてっきり大喜びしてくれるものだとばかり思っていたのに。なんだこの『お前へのプレゼントはないんだよやーいやーい』的イタズラをやってしまった感……ちくしょうお前へのプレゼントだけは、生臭い匂いが中に充満するのを我慢して冷蔵庫に保存しておいたのに……

「ま、まぁいいクマ。この秋鮭はありがたくいただいておくクマ」
「お、おう……」

 球磨はそう言いながら、俺が準備しておいた秋鮭一尾のしっぽをつかみ、それをひょいっと背負い込んだ。

「あのー……妖怪アホ毛女さん」
「クマ?」
「なんか……すまん……」
「謝るようなことなんかしたクマ?」
「い、いや……」
「なら謝る必要なんかないクマ。これは明日にでも提督にさばいてもらってみんなで食べるクマ」

 口ではそう答えていたが、球磨の顔は笑ってなかった……やっべ……なんでこんなショック受けてるんだ俺……なんか泣きそうなんですけど……

 俺がプレゼントした『か◯◯りサー◯ス』に没頭するためなのか何なのか、気がついたら北上は長ソファーからいなくなっていた。加古は散髪台でこの上なく熟睡しているのが、生成されている鼻提灯からも見て取れる。外からは川内の『やせーん!!』という叫び声が聞こえ、隼鷹もいつの間にやら消えていた。提督さんのところに行ったのかもしれん。

「……なんかみんな、しらん内にいなくなってるな」
「そうクマね」
「そうねー……でも私もそろそろ帰るわ。これ以上起きてるとお肌に悪いし、そろそろ眠いしね……」
「お、おう」
「クマ」
「ハル、Danke。明日みんなでド○イマ○スター食べましょ……ぐーてなはと……」

 ビス子はビス子でそう言うと、眠そうに大あくびをした後、うなだれて店を出て行った。俺は、背中からあんなに『私は眠い』
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