クロスエンカウント
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も、それすら忘れるはずがないだろう? なにせそれは、お前自身の運命でもあるんだからな」
「運……命……」
目の前の女性サイボーグが放つ一つ一つの言葉……フェイトはなぜかその言葉が頭から離れなかった。初対面で敵である事以外に何の関係も無いはずの彼女。だが……本当はそうじゃない感じがしていた。
「(その理由が何なのか私にはわからないけど、それでも手加減されたからこの程度で済んだ。だけど……)」
先程の一撃で衰弱し、生殺与奪を握られている以上、フェイトは確信してしまう。
「(今のままじゃ彼女には……“勝てない”……!)」
バイザーの向こうに隠れた素顔はどんな表情を浮かべているのか……、なぜ手加減したのか……、自分とどんな関係があるのか。そして今も麻酔弾を撃ち続けている狙撃手の正体など、色々気になる事はあるが……とにかくフェイトはこの世界で戦っている相手が明らかにテロリストが持てる力の範疇を越えていると思った。
「アクセルシューター、発射!」
狙撃を回避しながら放ったアーネストの魔力弾を、サイボーグの彼女は振り向きすらせず盾で難なく防ぐ。
「雑魚のくせに俺達の邂逅に水を差しやがって……管理局はその場の空気を読むって訓練を導入した方が良いな。お前もそう思うだろ?」
「なんでここで私に振るの……」
「馬鹿じゃないなら、それぐらい察しろよ。いつか“裸の王様”になっちまうぜ? …………ま、わからないならどうでもいいか。つぅか一番言いたいのは……アレだ、お前は家族の下へ帰れ」
「え? 帰れって、どうしてそんな事を……」
「二度は言わないぞ、いいな?」
彼女はフェイトに忠告した後、人間業ではない超人的な速度でアーネストへ向けて跳躍、サイボーグと魔導師の戦いが再開される。一応解放されたものの、ダメージで満身創痍のフェイトはとりあえず今の状態でもできることとして、麻酔で眠っている部隊の仲間の回収へ向かった。
「黄狼拳ッ!! オラオラオラオラ、逝けぇ!!!」
サイボーグの拳から黄色い稲妻を滾らせた連打を受け、アーネストとカイが必死に展開した防御魔法をプチプチと簡単に砕いていく。その光景はまさに蹂躙と言っても過言ではなく、歴戦の魔導師がまるで玩具の如く弄ばれているようでもあった。
「畜生! カートリッジを使ってるのに、何重ものプロテクションを紙みたくあっさり砕いてくるとは……なんてパワーだ!」
「狙撃手との連携も厄介だ。カイ、少しだけで良いから時間を稼いでくれ。フェイト、二人を回収したらとにかく全速力で撤退するぞ!!」
「チッ、仕方ないな。了解!」
「りょ……了解……!」
サイボーグの猛攻撃をアーネストとカイが防御魔法や捕縛魔法をがむしゃらに放つ事で引き受けてい
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