クロスエンカウント
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思わず叫んだフェイトは慌ててミッド式ゼロシフトを連続使用、何者かにぶん投げられたビルをギリギリ回避する。また、アーネストとカイもフェイトの絶叫を聞いたことで飛んでくるビルの存在に気付き、血の気が引きながらも全速力で逃げ延びていた。
ちなみにどこかの狙撃手が「やり過ぎないでって言ったよね!?」とツッコミを入れているのだが、遠すぎるのでフェイト達には聞こえる訳が無かった。
――――ガシッ!
「むぐっ!?」
ビルと衝突する状況を脱した途端、いきなり喉を掴まれてたまらず息が詰まるフェイト。直後、ソニックブームを発生させる豪速で彼女は砂漠の大地に叩き付けられ、直径10メートルのクレーターを発生させて身体の半分が埋まる程のダメージを受けてしまった。
「っ〜〜〜!!!!??」
砂は衝撃を多少和らげはするが、全ての衝撃を消す訳ではない。あまりの鈍痛でフェイトはたまらず涙がこぼれるが、彼女の前にはその痛みを与えた原因が未だに君臨している。ダメージを我慢しながらぼやける視界を正常に戻し、フェイトはその対象を視認した。
「な……!? さ、サイボーグ……!?」
左手に足先から肩まで覆う巨大な水色の実体盾を持ち、全身は白い強化外骨格、ショートの金髪で顔はバイザーで覆われて隠され、先端が波状のマントで首を覆う女性サイボーグ。機械仕掛けの身体でありながら、彼女の威風堂々とした姿には圧倒的な威圧感が漂っていた。
全身が質量兵器というのは管理局法に正面から喧嘩を売っていることになるが、しかしサイボーグの能力は魔導師を軽く凌駕する。いくら優れた魔導師と言えど、生身で耐えられる力には限界がある。力だけではない……速度、耐久度、思考力など……。魔導師がいくら魔力で補おうと人間の身体である以上、“兵器”としてはやはり未完なのである。
「弱い!」
「え……?」
「弱過ぎるぞお前! 次で殺しちまうかもな!」
「次って……!?」
「クッハッハッハッ……おめでたいヤツだなぁ、ええ? わかるだろう……今俺がこの小鳥みたいな声が出る喉を掴む手に、こんな風にちょ〜っと力を入れてやれば……お前の魂は一瞬で肉体から消え去るんだぜ?」
それを証明するように、フェイトの首を掴んでいるサイボーグの手が一瞬だけ強まった。サイボーグの超人的な力で首絞めなぞされたら、窒息どころか文字通り握りつぶされる。それが本能的にわかったフェイトはサァーッと全身から血の気が引いてしまった。
「ッ……!?」
「つまらんなぁ……完全体でこのザマとは、期待外れだ。“ヒト”の海原で漂い過ぎて、自分の本質すらそこにあると錯覚したか? ンッンー?」
「本質? い、いったいなんのこと……!?」
「クククク……SOPの影響があって
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