クロスエンカウント
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。…………しょうがない、お金が溜まるまで“これ”で我慢するよ……」
一度外して手に持つワニキャップを、何とも言えない微妙な気持ちで見つめるなのは。そして借りたお金は早く返そうと思った。
「(個人的にはフェイスカムを早く手に入れたいけど、恩返しの方が大事だよね)」
自分の羞恥心よりも友への感謝を選ぶ辺り、仲間を大切にするなのはの精神をよく表していた。ジャンゴとおてんこはそんな彼女の心にある太陽を見て、“裏”のせいでこの光を潰えさせたくないと感じた。
「あ、そういえばこの人達はどうするの? デバイスは回収したけど、放置はマズいよね」
「近衛部隊の何人かが近くで待機してるから、ウルズ作戦司令部にいるジョナサンに無線でこの人達を回収するように伝えれば良いんだって」
「じゃあこの人達は後で牢屋入りかぁ……ちょっと可哀想な気がしてきた」
「その辺のことは僕達が上手くやれば良いんだよ。説得して味方にするとか、早く核を解体するとかね」
「うん……」
複雑な表情のままなのはが頷き、ジャンゴは無線機でジョナサンに連絡を取る。前線部隊を無力化したため回収を要請すると、喜びの声が無線を通じて響いてきた。
『では君達は帰還してくれ。もう一方の作戦を行っている方も、本隊との合流まで後少しだ。終わるまで時間はそうかからないだろう』
「わかった。じゃあこの人達は任せたよ」
「あんまり手荒な真似はしないであげてね」
『了解した、部下にも徹底させておこう。あと敵から奪ったデバイスは、すまないがそちらで預かっておいてくれ。防衛の点から見て、そっちが持っていた方が取り返される可能性が低いと判断したのでな』
「了解。にしても管理局員のデバイスを奪う、か……。敵対してるから仕方ないんだけど、なんか悪いことをしてる気になるなぁ……」
「まぁ、魔導師を無力化したいなら確かにデバイスの隔離は必須なんだけどね。私だってこの義手をもらうまで完全に無力化されてたもの」
『デバイスが無くても技量があれば少し魔法は使えるらしいが、それでも持っている時と比べれば著しく弱体化する。そんな状態ならハンドガンだけでも制圧が可能だ。そっちでデバイスを持っていてほしいのは、それが主な理由だ』
デバイス無しだと凄く弱くなる魔導師の致命的ともいえる弱点を、幸か不幸か義手で克服できていたなのははつい苦笑してしまう。将来的には全ての魔導師が自分のようにデバイスを身体と一体化させるのではないかと考えたが、そんな魔導師の姿は明らかに魔法使いの一般的なイメージとはかけ離れていた。……今の時点でもキラキラした夢のあるイメージとは十分かけ離れているが。
『……たった今、報告が入った。本隊がもう一方の作戦領域に到着、合流に成功したとの事だ』
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