クロスエンカウント
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白いバリアジャケットを着る強力な魔導師でありながら、雰囲気からして可愛らしい少女、高町なのは……しかし彼女の顔は今、まごうことなきワニとなっていた。
「なんで……なんでワニなの……! そこは覆面とか仮面とかバラクラバとか、そんなのでいいのに……なんでよりにもよってワニキャップなの……!」
「? 僕はカッコイイと思うよ」
「いや、カッコイイとは違うでしょ……」
「確かに普通は面白いとか、笑えるとか、馬鹿じゃないかとか、そういう風に思うかもしれないね」
「それがわかってるなら……」
「でもカッコイイじゃん。正直に言って、僕も被りたいし」
「じゃあジャンゴさんが被れば良かったよね!? なんで私が被る羽目になってるの!?」
「理由はさっきも言ったように、なのはの生存が“裏”に伝わるのを防ぐためだよ。まぁ、真面目な話……なのははワニキャップを被るような人間じゃないと皆思ってるだろうから、その盲点を突く形にしたかったんだよ」
「確かに皆の認識の裏をかくのは、ステルスでは道理かもしれない。でも……何もワニキャップにしなくても良かったと思うんだけど……」
「もしかして……ワニじゃなくて馬や牛とかの方が良かった?」
「そっちじゃないよ!? 私、ミノタウロスとかになりたい訳じゃないから! アウターヘブン社はフェイスカムっていうすごい変装道具が作れるんだから、顔を隠したいなら最初からそっちを使えば良かったんじゃないかって言ってるの!」
「あ〜……うん、僕も最初はそう思ったよ。でも……」
「でも……なに?」
哀愁漂う雰囲気を漂わせ、ジャンゴはフッとニヒルに笑って伝える。
「お金が……無いんだよね」
「それカッコつけて言う台詞じゃないよ!」
「わかってる、なのはの言いたい事はよ〜くわかる。だけどさ……僕の所持金は諸事情でほとんど空だし、なのはも管理局で稼いだお金は口座が凍結されてるから使えない。これまではマキナが全部費用を負担してくれてたから、食事や服などに困らなかったんだよ。でも今朝言ってたように、彼女の財布にも限界はある。なのに超高性能アイテムの高額な製作依頼費まで負担させたら、いくら彼女でも使い過ぎだって怒るに決まってるでしょ」
「そ、それはそうなんだけど……友達なんだから特別価格で作ってくれたりは……」
「正式な社員じゃないのに割引してくれてるだけで、会社側も十分譲歩してくれてると思うよ。それにさ、マザーベースにいた頃に偶然『せっかく溜めたオクトカムの製作依頼費が、見事にすっからかんになっちゃったなぁ……』って、あのマキナが半泣きでぼやいてたのを見たんだ……」
「うぐっ! そ、そんなこと聞いたら何も言えなくなっちゃうって……
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