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リリなのinボクらの太陽サーガ
クロスエンカウント
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視線を外し、再び歩き出そうとする。そして最初に見つけた局員も首を傾げながら視界から外した……瞬間。

ボコンッ! ……シュタ。

「ッ!? 待ってくれ皆、ダンボールが動いた!」

「……何言ってんだ、動いてないじゃないか」

「おいおい、真面目にやれって」

「なんだ、砂漠の暑さで頭やられたか?」

「くっ、本当なのに……」

信じてもらえない悔しさを局員はぼやくも、砂漠の暑さで幻覚を見ただけじゃないかと考えた事で、段々自分でもそれが本当だったとは思えなくなっていた。任務が終わったら休暇をもらおうと決めた彼が視線を外そうとした……瞬間。

ボコンッ! ……シュタ。

「ッ!!? 待て、またダンボールが動いた!」

「はぁ……真面目にやれって言っただろう」

「冗談もほどほどにしとけよ。狼少年みたいに信じてもらえなくなるぞ」

「俺は真面目だ。ダンボールの下から一瞬足が出てた!」

「わかった、わかった……そこまで言うなら威嚇射撃を許可する」

「了解。……シュート!」

局員がアクセルシューターを数発、ダンボールの周囲に発射。いくつかかすって少し損傷したが、微動だにしないダンボールの姿を局員が一度目をこすって眺め、部隊の仲間がそら見たことかと嘲笑する。

「……攻撃完了、反応無し……。やっぱり見間違いだったのか……」

「そりゃそうだ、ダンボールに人が隠れている訳が無い」

「そんな当たり前の事もわからなくなってるなら……帰ったら検査でも受けとけ」

「まぁどうせ仕事続きで疲れてるだけだ。あんまし気にすんな」

「そう……だな。最近働いてばっかりだし、この任務が終わったら休暇取るよ」

「ああ、それが良いって」

落ち込む彼の肩を仲間達がポンポンと叩く。げに美しきは仲間との友情なり。されど現実は酷なものである。

「アクセルシューター24発、シュートッ!!」

『ぎゃー!?』

背後から隠れて来た魔導師が放った大量の魔力弾を頭に喰らい、瞬く間に彼ら全員気絶する。それを確認したことで注目の的だったダンボール箱も立ち上がり、中に入っていた太陽の戦士が本来の姿を現す。

「やったね、なのは! 作戦大成功!」

「ウン……ソ〜デスネ〜……」

「あれ? なんか暗いけど、嬉しくないの?」

「いや……作戦が成功して被害を最小限に抑えられたのは嬉しいよ。でもね……」

一拍溜めて、なのはは静かに、そして強く言う。

「“これ”は無いよ……!!」

自分の顔を覆うものを指差して、どことなく怒りと哀しみが混じったような声で訴える。先程からなのはが顔を隠すために被っているもの、それはユーリの“お気に入り”である……

“ワニキャップ”だった。

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