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黒を纏う聖堂騎士団員
19.二人の関係
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「なるほど。寒くはないか?」

「・・・?ヌーク草ならまだ二枚あるが?」

マルチェロがやけに優しいので、クロノスは偽者かと疑いました。
優しい疑われるマルチェロに可哀想とは言いませんよ。
二階からイヤミですから。
すっかり恋と勘違いしたバカハゲは、どうやら自分自身の扱いに困っているようです。
不機嫌な顔をしながら考え込んでいるマルチェロを見ていたクロノスは、ヌーク草に副作用があるのか考え始めました。

そんなマルチェロは燃え尽きた大きなレンガを持ち上げました。
このときです。
マルチェロは突然下に消えていったのです。
青ざめたクロノスは慌てて覗きました。
穴に落ちたようです。暗くて中は見えません。
火をつけようにも濡れた木ばかりで明かりがありません。

「地下室のようだ。これなら書物も火事でも無事に済むな。
クロノス、そこで待っていろ」

「あぁ・・・」

クロノスが待つなか、マルチェロは暗闇の地下室を歩きます。
濡れていない木の枝に運よくつまずき、即席の松明を作りました。
やはりマルチェロが考えた通り書物があります。
探している資料があればよいですが。
マルチェロが手にしたのは童話のようです。
『女神エリスの堕落』という子供向けではないようです。
それでは悲しいシーンや回想シーンで流れるあの曲と共に読みましょう。

『まだ国が出来、人が潤う世界ではなかった頃。
エリスという美しい女神がおりました。
彼女は自分を超える美しい女たちの性格を醜いものに変え、争いを起こし始めました。
そして人が国を作り、争い、ラプソーンを封じた頃。
エリスはラプソーンを封じた七賢者たちに挑戦を出しました。
ー私はこれから一日一人、人を殺そう。私に勝てば人間の勝ちだー
日が一日一日と経つなか、連鎖を止められない七賢者の前に少女が尋ねました。
ー私がエリスを封じ込めましょうー
少女は自らの長い長い血筋と引き換えに女神エリスを封じ込めたとさ。』

「曖昧な話だな。嫉妬深い神を封じた話など・・・
ふん・・・・・・ラプソーンか。
命令されるのは嫌いだが、かなりいい経験をしたな。
なるほど、赤の時代とはラプソーンか。青の時代は・・・エリス。」

ククールに呟いたマルチェロの台詞。
記憶にない人も多いかもしれません。
しかし、マルチェロはどこでそんな台詞を入手してきたのでしょう。
地上で待つクロノスはしびれを切らして呼び掛けてきました。

「おい、大丈夫か」

「当然だな」

とは言いましたが、マルチェロはしばらく黙りました。
落ちるのは簡単に手早く出来ますが、どう上ればよいか分かりませんでした。
梯子はありませんし、ルーラもリレミトもマルチェロはありません。
それがプライド上言
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