第七話。千夜一夜夢物語A素直な転入生
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「すみません、つい、体が勝手に動いてしまいまして」
「どう体が勝手に動けば水に突き落とすのよ??」
悪態を吐きながらも、ザバァ、と水を滴らせながらプールから出るスナオちゃん。
「いつか絶対にハグしてやるんだからっ!」
彼女は握り拳を作りながらそんな決意をしていた。
そんな彼女の姿を見ていると。先ほど感じたあの既視感はただの思い過ごしだったのか、と思ってしまう。
『ぷんぷんがおー、だぞ?』
……元気だろうか。あの子達は。
「よーう、リア。転入生!」
などと、感傷に浸っていると。
理亜とスナオちゃんの所にアリサがやってきた。細い銀髪は光を反射しているせいか、キラキラ輝き幻想的な美しさが醸し出されている。
「アリサさん」
アリサの名を呼ぶ理亜の声には緊張以上に、恨みがましい空気が含まれていた。さっき爆弾を投げたアリサに対し、不満があるのだろう。
「さっきのような話は困ります」
「ま、いいじゃないか。リアがブラコンだって話は有名なんだし」
「え、そうなんだ? キンダンの恋ってヤツ?」
「いんや、リアと一緒に住んでんのは従兄弟らしい。高校二年だ」
「おおー! 三つ上のお兄さん! しかもイトコなら結婚も出来ちゃうわね! なるほどね。リアのお兄さんならなんだか落ち着いたクールなイケメン! って感じなのかしら?」
ごめんよ。クールかどうかは自信ない。
「いえ、子どもっぽくてヤンチャで格好つけたがりなお調子者です」
「きっとその内、ネクラで、昼行灯で、女の子をすぐに口説くような駄目人間になる、そう予兆したぜ!」
理亜は一文字の性格を的確に表現し。アリサはアリサで予言めいた事を言い放つ。
事実だが、それはそれで凹むぞ。お二人さん。
「なぁんだ、なら別に会わなくていいわー」
がっかりした表情を浮かべるスナオちゃん。
そこまでがっかりされると流石に傷つくんだが。
「それに、わたしは可愛い女の子の方が好きだし?」
「そこで手をわきわきして私を見るのはやめて下さい、スナオさん」
スナオちゃんにさらりとクールに告げると理亜はアリサを見上げて。
「それにしても、アリサさんは私の事情にも詳しいですね?」
「そりゃあな。この学校にはとっくに溶け込んでいたことになっているし。噂に聞くクールビューティーな理亜の話はちょくちょく耳にしてたぜ」
なるほど……ことになっている、ね。
それをバラす辺り、アリサはいい加減な魔女なのかもしれないな。
「そうでなくても、お前さんの情報収集はちゃんとするさ。今後はもしかしたら私の相方になるかもしれないしな?」
「そうですか」
やや緊張を含む返事をする理亜。無理もな
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