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101番目の舶ィ語
第七話。千夜一夜夢物語A素直な転入生
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「すみません、つい、体が勝手に動いてしまいまして」

「どう体が勝手に動けば水に突き落とすのよ??」

悪態を吐きながらも、ザバァ、と水を滴らせながらプールから出るスナオちゃん。

「いつか絶対にハグしてやるんだからっ!」

彼女は握り拳を作りながらそんな決意をしていた。
そんな彼女の姿を見ていると。先ほど感じたあの既視感はただの思い過ごしだったのか、と思ってしまう。

『ぷんぷんがおー、だぞ?』

……元気だろうか。あの子達は。

「よーう、リア。転入生!」

などと、感傷に浸っていると。
理亜とスナオちゃんの所にアリサがやってきた。細い銀髪は光を反射しているせいか、キラキラ輝き幻想的な美しさが醸し出されている。

「アリサさん」

アリサの名を呼ぶ理亜の声には緊張以上に、恨みがましい空気が含まれていた。さっき爆弾を投げたアリサに対し、不満があるのだろう。

「さっきのような話は困ります」

「ま、いいじゃないか。リアがブラコンだって話は有名なんだし」

「え、そうなんだ? キンダンの恋ってヤツ?」

「いんや、リアと一緒に住んでんのは従兄弟らしい。高校二年だ」

「おおー! 三つ上のお兄さん! しかもイトコなら結婚も出来ちゃうわね! なるほどね。リアのお兄さんならなんだか落ち着いたクールなイケメン! って感じなのかしら?」

ごめんよ。クールかどうかは自信ない。

「いえ、子どもっぽくてヤンチャで格好つけたがりなお調子者です」

「きっとその内、ネクラで、昼行灯で、女の子をすぐに口説くような駄目人間になる、そう予兆したぜ!」

理亜は一文字の性格を的確に表現し。アリサはアリサで予言めいた事を言い放つ。
事実だが、それはそれで凹むぞ。お二人さん。

「なぁんだ、なら別に会わなくていいわー」

がっかりした表情を浮かべるスナオちゃん。
そこまでがっかりされると流石に傷つくんだが。

「それに、わたしは可愛い女の子の方が好きだし?」

「そこで手をわきわきして私を見るのはやめて下さい、スナオさん」

スナオちゃんにさらりとクールに告げると理亜はアリサを見上げて。

「それにしても、アリサさんは私の事情にも詳しいですね?」

「そりゃあな。この学校にはとっくに溶け込んでいたことになっているし。噂に聞くクールビューティーな理亜の話はちょくちょく耳にしてたぜ」

なるほど……ことになっている、ね。
それをバラす辺り、アリサはいい加減な魔女なのかもしれないな。

「そうでなくても、お前さんの情報収集はちゃんとするさ。今後はもしかしたら私の相方になるかもしれないしな?」

「そうですか」

やや緊張を含む返事をする理亜。無理もな
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