暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第222話 霜巨人の最後
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ュムの攻撃が終わった訳では無い。

「猫がァ!! 共に、潰れるがよいッ!!」

 トールの攻撃や、他の全員の攻撃を受けているのにも関わらず、戦斧を振り上げ、レイナとシノンに目掛けて振り下ろしたのだ。

「っ、逃げッ!」
「ダメっ!? 間に合わない!」

 これまでに無かったパターンの連続攻撃。 初見でなければ回避出来たかもしれなかったが、不運としか言えないだろう。
 だが、レイナとシノンに刃が届く事はなかった。
 守ると誓った2人を狙った事、そして 比較的2人の傍に、彼がいたから、寸前で守る事が出来たのだ。


「………させるかよ!」


 例え、ゲームであったとしても、愛する人に攻撃を当てられる事は、背中を任せ、任されてきた大切な友に攻撃を当てられる事は、好ましくない、と思うのは当然だろう。

 雷が、まるで白銀の身体に纏ったかの様に、その性質まで取り込んだかの様に、スリュムと2人の間に入り、レーヴァテインで 戦斧を受け止めたのだ。

「ぐ、……!!」
「つ、ぶ、れろ……! 潰れろォォォォォ!!!」

 圧倒的に、体躯が違う。
 だが、それでも押し返す気概を持ち続ける。

「リュウキくんっ!」
「リュウキ!」

 庇ってくれているリュウキの姿を見て、直ぐに体勢を立て直そうとするレイナとシノン。

「リュウキ! 今……って」

 加勢に行こうとしたキリトの前に、クラインがいた。仁王立ちをしているかの様に、佇んでいたが、直ぐに動き始める。ゆっくりとした動き、そして、何かオーラの様なものを感じられた。


「(ああ、そうさ。オレは、騙されたとは思ってねぇ……)」


 スリュムのリュウキ達への攻撃を止めさせようとハンマーを振りかぶるトールを見て、クラインは思う。

「(………オレが、勝手に女神(フレイヤ)に惚れた。それだけだ――。今は、今は――仲間達の為に、そして――あんたにも、最後まで力を貸す。それが、武士道、ってもんだ)」

 強い決意を胸に秘めたクラインの眼に、光る何かを見た気がした。

 上段の構えのまま、跳躍し スリュムの右足目掛けて一閃。
 そして、戦闘中の様々な騒音の中に『ちっく、……しょぉぉーー』と言う声も聞こえた気がしたが……。それよりも。


「ぬ、ぐぅ……がぁ!」


 クラインの放った渾身の一撃が、こらえ続けていたスリュムに限界を齎したらしく、完全に片ひざを付く形になった。

 そのおかげで、リュウキへの攻撃もキャンセルされ、無事に3人とも脱出する事が出来た。

「やったっ、スリュムが……、スタンしたよっ!」

 リーファも歓声を上げる。

「へ?」

 クラインは、無我夢中だったからか、気づくのが遅れた様子だ。
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