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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第一話 小伊坂 黒鐘のプロローグ
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しますか?》

《どうするかな……》

 魔導師が彼女一人だけだったら、対して危険な存在じゃない。

 もしもの時は俺一人でなんとかできるだろうし、今すぐ何かが起こるとも思えない。

 それに、せっかく上司や仲間の気遣いで休暇を貰ったのに、初日なり二日目でそう言うものを送ったら余計に心配させてしまう。

《……まだいいんじゃない? 取り敢えず様子見ってかんじで》

《分かりました。 ですが念の為に先ほどの少女のことは検索し、いつでも書類として提出できるように情報整理しておきます》

《うん、ありがとう》

 こういった気遣いは本当に助かる。

 俺には出来すぎた仲間だと、そう思ってしまうほどに。

「さて、そろそろ病院か」

《面会時間にはまだ余裕がありますし、施設内は走ってはいけないのでペースを落としましょう》

「だね」

 俺は念話を止め、走る速度を落としていく。

 一般人の小走り程度まで速度を落としてすぐに、俺は海鳴大学病院へ入った。


*****


 五年前、俺たち一家は何者かに襲われた。

 そのせいで両親は死んで、俺と姉さんが生き残った。

 だけど、その姉さんですら昏睡状態で目を覚ましてない。

 5年間。

 姉さんは未だ、一度も目を覚ましていない。

 そして眠ったままの姉さんの身体は、『成長』をしていない。

 医者の話しでは、決定的な理由は分からないが、恐らく必要な運動や食事をせず、睡眠にだけ体を使っているせいで脳は発達しても肉体は成長しないと言う結論がでているらしい。

 もっと詳しい説明を受けた気がするけど、あまりのショックで覚えてない。

 アマネに聞けば記憶してるだろうけど、聞いたところで意味はないだろう。

 姉さんの時が止まっている。

 その事実が、覆ることはないのだから。

「姉さん、元気か?」

 白いドアを横にスライドさせ、病室に入る。

 直後、空いている窓からの風がふわりと吹き付ける。

 温もりを残した涼しい風。

 過ごしやすい季節なのだと感じつつ、俺はベッドのそばにあるパイプ椅子に座る。

 介護用に作られた白いベッド。

 ベッドの脇に操作用のリモコンがあって、それを使えばベッドを起こしたり倒したりできる。

 俺はほんの少しだけ上半身に位置する部分を上げて、姉さんの顔色を確認する。

 俺の一家は皆揃って銀髪だ。

 だから俺も、そして姉さんの髪も銀色。

 ただ姉さんは更に水色が混ざったような色をしており、血の気を感じさせない白い肌はどこか絵本の登場人物を見ている気分になる。

 姉さんは意識を失っているけど、呼吸をしている。

 血液
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