暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第一話 小伊坂 黒鐘のプロローグ
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かし俺の声を聴き、我に戻った瞬間に視線は逸れる。

 瞳からまつ毛の辺りに視線が逃げ、抱かれている状況のせいか体を固くする。

「ご、ごめん!」

 慌てて立ち上がり、俺から半歩下がって頭を下げてきた。

 今日はホント、謝られてばかりな気がする。

「いやいやそんな、謝らなくていいよ」

 そう言って俺は笑みを見せる。

 なるべく不安にさせないように。

 なるべく罪悪感を与えないようにって、そんなことを意識して。

《マスター、彼女には大変失礼ですが、今すぐこちらから離れた方がよろしいかと》

《え、なんで?》

《それも離れてから説明します》

 唐突に、アマネはここから離れるように言った。

 それは決して慌てているようすではなく、ただ事実を淡々と述べるようにして言った。

 アマネが何を意味してそういったのか、目の前の女の子には失礼だけど、今はアマネを尊重しよう。

「……まぁいいや。 とにかく互いにケガもないし、俺はこれで失礼するよ」

「う、うん、ありがとう」

「どういたしまして!」

 俺は申し訳程度に笑みを見せ、病院へ向かって走り出す。

《それで、なんで急に離れろって?》

 俺は速度を下げず、走り続けながら念話を繰り広げる。

《マスターは気づかなかったのですか?》

《え、何を?》

《あの少女、魔導師ですよ》

「……マジか」

 アマネは冷静に、淡々と事実を語る。

 そしてあまり嘘を言う性格じゃない。

 だからその言葉が真実であることくらい、長い付き合いだからわかる。

 ……なんて理屈はどうでもよくて、俺は念話を忘れて素の声を上げてしまう。

 幸い、走っているから擦れ違った人の視線なんて気にならないけど……。

《魔導師が、管理外世界になんの用なんだ?》

《不明です。 ですがマスターであれば、彼女の魔力には気づけたのでは?》

《管理外世界で、しかも長期休暇中だぞ? そう言うのは全部シャットアウトしてたよ》

 そう、俺はあくまで休暇でこの世界にいる。

 しかも管理外世界だから、魔法みたいな危険なものもない。

 刃物や拳銃程度の武器相手だったら、魔法なしで対処できる。

 だから俺はこの世界に入ってから、魔法の使用だけでなく、戦闘技術の使用をかなり制限している。

 アマネが言う、『魔力に気づけた』と言うのは、気配を察するとか肉眼とは別の目で捉えるみたいな、そんな能力。

 だから俺からしたらさっき知り合った高町 なのはも金髪の少女だって、同じ地球出身者にしか見えなかった。

 アマネだけはサーチして気づいたらしいけど。

《念の為に管理局へ調査依頼を提出
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