暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第一話 小伊坂 黒鐘のプロローグ
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な〜って思っていたけど、艦長が前もって色々根回ししてくれたのか、滞りなく済んだ。

 むしろ暖かく歓迎されたみたいで、俺としては明日からの学生生活が楽しみだったりする。

 何せ、学生生活が初めてだから。

 6歳から管理局に所属し、半年ほどの教育期間はあったけど、学校に通ったことはない。

 だからこうして正真正銘の学生として生活するのは初めて。

 友達百人できるかな、なんて言うワクワク感が今さらって思われるかもしれないけど、かなりある。

 そんな興奮が抑えきれなくて、転入前日なのに制服を着て街に繰り出していた。

 ……大人になったら恥ずかしくなる話しってこういうことを言うのかな?

「……ん?」

 波の音が強くなった瞬間、それに混じって誰かの声が聴こえた。

 それは言葉ではなくて、ただの声。

 女の子の声。

 そして、叫び声だった。

《何かあったのでしょうか?》

 アマネにも聴こえたらしく、声の場所を瞬時に特定してくれた。

 頼んでもないのにやってくれる所が、アマネの優秀な所の一つだ。

「海に落ちたとかだと怖いし、取り敢えず行ってみようか」

《はい。 ですがマスター、その前に一つだけ忠告です》

 防波堤から歩道へ飛び降り、走り出した所でアマネが低い声で言った。

《この世界は魔法が存在しません。 従って魔法の使用は》

「分かってる。 魔法は使わないよ」

 アマネの言葉を遮るように、俺は言葉を紡いで走り出した。

 分かってる。

 魔法が存在しない世界で魔法を使う。

 それは、その世界の常識を覆してしまうと言うこと。

 その世界の人が数年、数百年、もしかしたらそれ以上頑張った成果として生まれるなら構わない。

 けど、ある日ポッと出した魔法は、今までの努力や常識を否定してしまうことになる。

 そこから想定されるのは、世界の混乱、文明の混乱。

 だから魔法文化のない世界で活動する魔導師には、魔法適性のない人間が干渉できないような結界を作る技能が必要になる。

 生憎、俺にはそれを覚える才能はなかったから、こうしてアマネに忠告されたわけだ。

 分かってるさ、それくらい。

 だから魔法は使わない。
 
 あくまで、魔法“は”使わない。


*****


 防波堤を、低めの波が強く叩きつける。

 その音に合わせて、一人の女の子が叫んでいた。

 身長は俺より頭一つくらい下。

 白主体の制服は、多分俺と同じ学校の人。

 栗色の短い髪を左右に結んだツインテール。

 後ろ姿だし、まだ30メートル以上も距離があるからシルエット程度だけど、叫び声が聴こえてしまうだ
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