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鎮守府の床屋
前編
11.祭だ祭だっ!!(後)
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ス子を見ると、赤面しながらこっちを見ていた。

「どうしたビス子?! 盆踊らないのか?!」
「え……だ、だって私、こんなタンツ知らないわよ……?」
「俺だって知らん! そもそも球磨が踊ってる怪しい踊りを真似してるだけだ!!」
「で、でも……」

 顔を真っ赤にしてうつむくビス子を見てフと気づく。これはあれだ。多分ビス子はきっかけが欲しいんだ。中々踏ん切りがつかないから、きっと誰かが強引に誘い込んだら踊りだすぞきっと。

「出来なくても大丈夫よビス子! だからこっち来て!」
「え……でも……」

 よしいいぞ暁ちゃん! さすが一人前のれでぃー!!

「仕方ないわねー……じゃあ暁が教えてあげるわよ!!」

 暁ちゃんはそう言うと、楽しそうにビス子のそばまで走って行き、その手を取って強引に輪の中に連れ込んできた。

「わ、わからないわ?! どうやって盆踊ればいいの?」
「ほら! こうやって踊ればいいのよ!!」

 暁ちゃんがそう言い泣がら、球磨のそれによく似た不思議な踊りを踊り、ビス子もそれを見様見真似で踊り始めた。最初こそ赤面して抵抗を感じているようなビス子だったが、次第にその表情も段々とほころびはじめ、ついには満面の笑顔になっていった。

「こ、こうかしら暁?!」
「そうよ! これでビス子も一人前のれでぃーね!」

 果たして一人前のれでぃーという職業に、奇妙な踊りで人の精神力を吸い取るなんて特殊能力があるかどうかは疑問だが……それでもビス子も暁ちゃんも楽しそうで何よりだ。

「だんだん楽しくなってきたわ!」
「そら何よりだ!!」
「これで私も一人前のれでぃーね!!」
「だな!!」

 毎度のごとく『あほーれや! せ!! ん!!! あはーいや! せ!! ん!!!』とありえない合いの手を撃ちながら盆踊りをエンジョイしている川内を筆頭に、まさか俺までこんなに盆踊りを楽しめるとは思ってもみなかった。

「盆踊ってるー?」
「ぉおー。北上かー?」

 頭上から声が聞こえたので、両手をリズムに乗せてくねらせながら頭上を見上げた。そこにいたのは、いつもと同じくとぼた感じだけど、少し楽しそうに見える北上がいた。なるほど。俺のツッコミが聞こえてたのは、やぐらの上にいたからか。そして加古はやぐらの手すりにのしかかるように寝ていた。よくそんな器用な真似が出来るなと感心したが、そんなことはもはやどうでもいい。

「そうだよー。球磨姉と一緒に楽しそうじゃん」
「楽しいな! まさかこの妖怪アホ毛女と盆踊る日が来るとは思わなかったけど楽しいな!!」
「球磨は妖怪じゃないクマッ!!」
「そらよかった。その調子で球磨姉のこともよろしく」

 普段ならここは『たわけがッ!!』とキレるとこだが……もうどうで
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