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鎮守府の床屋
前編
11.祭だ祭だっ!!(後)
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!』とか言って乱暴狼藉を働けよ……」
「は、ハルこそ『この妖怪アホ毛女!!』とか言って嫌がればいいクマ……」

 なんだこの空気……ええい! こうなったら……!!

「川内!! 加古が夜戦してくれるってよ!!」
「なに夜戦?! 加古が夜戦してくれるの?!!」
「?! なんで私ッ?!」

 俺が『夜戦』と口走るやいなや、やぐらの反対側から猛スピードで迫ってきた川内は、唐突に身に覚えのないとばっちりを受けて目を覚ました加古をギラギラして眼差しで見つめると……

「クックックッ……ついに夜戦が出来る……!!」

 と言いながら、浴衣を着てるってのにおみ足をおしみなく露出させ、ふとももに装備した探照灯をフラッシュさせて加古に浴びせていた。

「うわっ?! まぶしっ?!!」
「覚悟ー!! やせーん!!!」
「だからなんで私ッ?!!」

 信じられない跳躍力によるきりもみジャンプでやぐらの上に到達した川内と、一瞬で飛び起き、やぐらの下に飛び降りた加古の、はげしくもしょぼい鬼ごっこがはじまった。みんなの注意が俺と球磨から、川内と加古の二人にそれた。よし今の内に……

「逃げるぞ球磨!」
「クマっ?!」
「今の内に逃げるんだよッ!!」
「りょ、了解だクマ!」

 球磨の手を引き、その場から逃げようとする俺と、それに抵抗することなくついてこようとする球磨。……あれ? これこそなんだか思春期って感じじゃない?

「あー! 球磨とハルが逃げようとしてるッ!」

 ヤバいッ暁ちゃんに見つかった!!

「なんだとッ! 暁! 二人を逃がすな!!」
「了解したわ! くらえ一人前のれでぃーの風ッ!!」

 不意に暁ちゃんが仰いだ強風をもろに浴びてしまい、俺は身体を持っていかれてしまった。勢いよく吹き飛ばされた俺は、そのままバランスを崩し、やぐらに頭をぶつけて地面に倒れてモロに腰を打ち、痛みで呼吸がままならなくなった。

「かひゅー……かひゅー……」
「危ないクマッ?!」

 そしてそんなおれの腹の上に、同じく不意の強風に吹き飛ばされた球磨が乗っかってきた。呼吸が出来ない俺の腹への一撃は、いつぞやのコークスクリューパンチよりも強烈に感じた。

「ごふぉっ?!」
「ご、ごめんクマッ?!」
「か、かまわん……大切な浴衣……だからな……」
「結局最後まで嫌がらなかったねぇ二人とも。ニヤリ」

 やぐらの上から俺と球磨を見下ろした北上が、そう言いながらニヤリと笑ったのが見えた。助けろ。俺のことを義理の兄とのたまうのなら、今まさにピンチな姉夫婦の旦那のほうを助けろ。

「やーだね。まだ兄さんじゃないんだし。ニヤニヤ」
「だな。そういうことはゴールインしてから言ってやれ。おれとマイスイートハニー隼鷹のよう
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