秋山 駿
第三章 手駒と策略
第二話 反逆
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「堂島さん……」
「6代目、遅いじゃないか」
「お前ら、俺をあぶり出すために澤村遥を攫い、秋山さんを傷付けたんだな……」
背筋に悪寒が走る。
いつもと違う、殺気混じりの気。
それが大吾のものだと理解するのに、時間はいらなかった。
まるで獣のような鋭い目に、思わずゴクリと生唾を呑む。
「……6代目、私は平和的解決がしたいのです」
「何が言いたい?」
足立は足元に置いてあったスーツケースを手に取ると、そのまま大吾の前に投げ捨てる。
「1億入っています。これで、6代目の座から降りて貰えませんか?」
「何だと……?」
「勿論希望であればさらに金額は上乗せ出来ます。こちらは幾らでも準備できますから」
それを聞いた瞬間、さらに大吾の顔が怒りで歪む。
「この座は、そんな生半可な気持ちで座るものじゃねぇ……」
「じゃあ、降りる気はねぇんだな?」
「当たり前だっ!!」
大吾が叫ぶなり、遥は驚きのあまり肩を震わせた。
それを横目で見る足立は、また不敵な笑みに戻る。
「6代目、貴方は優しすぎる。極道に向いてない」
足立が口の端を異常に吊り上げ、見た目に反してとても不気味に見える。
だが次に見せた行為は、さらに異常だった。
遥は耳元でカチャリと鳴った音に、思わず目を見開いて驚く。
銃口が当てられているのが、視界の端に見えた。
「どうでしょう?この娘の命と、東城会トップの座を交換しませんか?」
足立の指は、引き金に添えられている。
最早、猶予は無かった。
秋山がチラリと大吾を見ると、怒りとどうしたらいいか葛藤する顔が見える。
ダラリと血が、秋山の足からまだ流れていた。
止血も出来ず、呼吸も荒くなっていくのが嫌になる程わかる。
諦めるしかないのか……。
大吾の脳裏に、その言葉がよぎる。
だが事態は、思わぬ方向に急変した。
その怒りの顔が、喜瀬にも現れている事が誰にも予想出来なかったからだ。
「足立ぃぃぃっ!!」
次の瞬間には、足立の身体が宙に浮いていた。
大吾も秋山も、投げ出された本人である足立も思わず目を丸くする。
たった1つの拳で、大の大人が空中へと投げ出されたのだ。
ドサッと地に着地した瞬間、鬼の形相で睨む喜瀬の顔が眼に入る。
荒々しい息づかいに、伸ばされたままの右拳には僅かながら血が滴っていた。
口元に触れ、それが足立自身の血だと理解すると、思わずビクリと身体を震わせる。
大きく息を吐くと、喜瀬は遥に近付き縄を解いた。
呆然とする遥の頭に手を置き、小さく笑って軽く撫でる。
「嬢ちゃん、悪かったなぁ。さぁ、アイツの所へ帰り」
それは、遥を除く全員が
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