パイ次郎……!
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[9]前 最初
パできるのに。
パイ次郎は仕方なく、読書に専念した。
また妄想してしまう。
「キスしてもいいですか」
「みんなが見てますよ」
「かまうもんか」
「んもう」
バカである。完全バカである。
パイ次郎は自分が情けない。
読書に集中、集中、集中! 邪念を振り払え!
でも、意識は女の子に向かってしまう。
パイ次郎は悲しかった。シャイな自分が憎かった。
とはいえ。
まあそれも人生だわね。
パイ次郎は40となり、熱狂的ファンに射殺された。
何てのは嘘。ジョンかよ。パイ次郎はまだプロじゃないから、そういうことはない……。
パイ次郎は図書館でまた妄想してる。
「あの。僕とホテルに行きませんか」
「いいですよ」
「やったー」
そんな都合よくいくわけがない。
パイ次郎はだんだん鬱になってきた。
心療内科でカウンセリングを受ける。
「先生。このままだと僕、自殺してしまいます」
「困りましたねぇ」
結論!
カネのかからない遊びをする。
となると、やはり小説か……。
パイ次郎は、図書館で町田康を借りてきて読んだ。
パイ次郎は、妄想の世界で遊ぶ。女の子と寿司屋に行く。妄想の世界ゆえに回ってない高級な寿司屋だ。やたらに中トロを注文する。
寿司屋を出てから、二人で歩く。幸せである。パイ次郎はルンルン気分だ。
不良、登場。女の子の腕をつかみ連れてゆこうとする。
「おのれ」
パイ次郎は一本背負いで投げ飛ばした。不良はアスファルトに叩きつけられ、わんわん泣く。女の子はパイさんすてきぃと目がハートマークになっている。
パイ次郎は照れる。
不良がなおも泣いてやかましかった。かわいそうなのでうまい棒をあげたら泣き止んだ。パイ次郎って優しいね。
女の子とベンチに座る。夢を語り合った。
「オレ作家になりたいんだ」
「あたし宇宙飛行士」
「負けた」
女の子のアパートまで送る。ドアの前に男が立っている。借金取りだ。借金取りが女の子の腕をつかみ、ソープに売り飛ばしてやるとぬかすので、パイ次郎はかちんときて、一本背負いで投げ飛ばした。男は階段を転がり回り死んだ。
「ヤバい逮捕される」
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